小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

恋色季節

INDEX|34ページ/71ページ|

次のページ前のページ
 


『只今より平成23年度、2学期始業式を行います。』

人がいっぱいだよ。

みんな気だるそうに前のオジサンの話を聞いている。

あたしは退院した。

記憶は、未だ戻らない。

家はどこか知らないし、心優が泊まってけというので、ここ最近はずっと心優の家に滞在している。

とても温かい家族のみなさんだった。

学校では

「しらをきりとおせ」

心優からのご命令。

なので

あたしは今日から、ペテン師さ!

現在は放課後。

時刻は午後12時。

始業式とホームルームだけだったため、午前中に授業は終わった。

あたしはテニス部のある場所へと向かう。

放課後すぐコートに来るという理央との約束。

あたしは訳もなく胸を高鳴らせながら軽い足取りで指定された場所へと向かった。

「二宮さん!ちょっといい?」

突然背後から呼ばれた私の苗字。

この女の子たちって、たしか椎崎さんと小宮さんって人じゃなかったっけ…?

「…ごめん、私ちょっと急いでるから」

あんまり関わっていると、記憶喪失だということがバレてはいけないので、淡々と返し、その場を後にしようとした。

―が

それは椎崎さんの腕によって阻止された。

「すぐ終わらせるから」

そういって微笑んだ彼女の顔に、とてつもない恐怖を覚えた。

それからあたしはコートとは反対側に拉致られた。

何?愛の告白?

な、ワケはないだろう。

何かめちゃくちゃ睨まれてるし…。

「ねー二宮さんって理央様の何なワケ?」

「え?玩具?」

何の躊躇もなく答えた私に2人は吃驚している。

だって、ねぇ?

玩具以外になくなくない?

あの扱われよう

自分でいってて悲しくなってきた…。

「じ、じゃあ何であんなに仲イイのよ!」

「も、萌ちゃんっ」

凄い剣幕で睨んできた小宮さん。

「そんなこといったって…」

あたしだってこんな役回り望んでないって。

「金輪際、理央様には近づかないで!」

「…」

何このヒトタチ。

自分の利益のために多勢に無勢で押し込めようとしてんの?

「…しょーもな」

「はぁっ?!!」

あら、ヤダ。

声に出てた?

ま、いいですけど。

本当、醜い奴等だ。

「二宮さんは理央君のこと…好きなの?」

「…さあ?」

言うわけないじゃん。

知りもしないアナタたちになんであたしのプライバシーに関わることなんて、言わなきゃなんないの?

裏でこそこそこそこそと…

面と向かって理央に言えないの?

卑怯…

―ズキ…

また頭の奥が疼いた。

「生意気―っ!!」

「何で?生意気?じゃあ、アナタたちに従ってたらイイ子ちゃんってこと?」

自分でも信じられないほど、言葉が淡々と出てくる。

怖いものなんて、ない

そんなような…

「…二宮さん。理央君はアナタを好きじゃないよ」

―え?

「リョーマ君は…付き合ってるの。私と」

「は…?」

「友梨…香…?」

あたしどころか小宮さんまで言葉をなくした。

「萌ちゃん…言ってなくてごめんね」

「う、嘘でしょ…?嘘だよねっ友梨香っ!」

「…」

じゃあ何?

あたしはあいつにまんまと騙されてたの?

確かに好きだって言われたこと…ない

思わせ振りな態度しか……
でも

…―キス―…

あれも

    イ ツ ワ リ ?

「…っ」

頭が酷く疼く。

ガンガンして頭の中が釘で打ち砕かれているような感覚―。

「理央君も迷惑してたよ…?本当困っちゃうな」

「……そう。」

ガンガンするのが

トマラナイ

やば…っ

頬を伝う涙

これは

頭痛の痛みの涙?

それとも…

「……痛いっ」

頭の中が

いっぱいいっぱいに、なる―…

「…っ理…央」

「…っ!!だからゆってるよね?理央君は二宮さんのこと…」

アタマガワレル

「…好きだよ、紗希」

耳を疑った。

愛しい彼の声にのせた、その言葉…

「…っ」

頭が痛すぎる…っ

情報が一気に流れ込んでくるようで

作品名:恋色季節 作家名:紗智