恋色季節
水無月
しつこい程ひっきりなしに降り続ける雨―。
じめじめと身体に湿気がまとわりつく。
あたしは昔からこの季節があまり好きじゃない―…。
今年はそれにプラスして…
原因不明のモヤモヤ感が…
どんよりと雲がかかってるようにに心にまとわりついてくる…。
降り続ける雨に
このさっぱりしない
変な気持ちも
いっしょに流れてしまえばいいのに―…。
「はぁ…。」
授業中、先生がくどくどと同じ説明を繰り返している中―…。
珍しく授業そっちのけで窓の外を眺める紗希。
ザーザーと降り続ける雨を眺め、今日何度目かの溜め息をつく。
―コンッ…
「?」
丁寧に折られた紙が、後頭部を直撃した。
飛んできたと予測される方向をキッと睨みながら振り返ると―…
ニヤニヤしながらピースをしている心優の姿。
―読め…と?
理解し、直ぐに折られた紙を元に戻していく。
【Dear迷える仔羊ちゃん
恋の悩みかい?
それならこのお母さんに 相談しなさい♪
Fromあなたのマミー】
一瞬
呆気にとられた―…。
"恋"という
たった1文字の単語を理解出来ずに…。
もし、これが
"恋"というなら―…
このモヤモヤしたキモチも
このもどかしいキモチも
この焦れったいキモチも
どんよりと雲がかったようなキモチも
全部、全て、みんな
説明がつくのかな―…?