小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

地図

INDEX|7ページ/8ページ|

次のページ前のページ
 


あの人が、居たの。あの人がよく利用している本屋さん。
今日は仕事の本?それとも趣味の本。あ、お気に入りの作家さんの新刊を買いに来たのね。
そして、私に気付いてくれた。
『どうしたの?こんなところまで』って優しい言葉、潤った声。
『あ、電話。かけてきて何も言わないし、どうしたの?』
ごめんってすごーく甘えた声で謝ったの。もちろん怒ってなんかいなかったけどね。
『大丈夫だった?すごく揺れたでしょ、地震』
『地震?』
『知らないの?おかしいなー。それにニュースでもしてなかったし、テロップすら
ながれなかったから、テレビ局が壊れたかと思ったよ』
あの人の笑顔が目の前に。しばし トローン。
『もしかして、心配して来てくれた?でもここに居るって知らなかったでしょ。
どうしてここに居るの?まあいいや。逢いたかったよ』
ギューウ。そう、ギューウってハグハグ。
お店の前なのに、嬉しかったけど、照れちゃった。
でね。店の端に寄って、あの人の唇が私の唇に・・・と思って目を閉じようとした瞬間、
私は、見てしまった。
その不自然な顔を あの人がじっと見つめてる。

作品名:地図 作家名:甜茶