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察人姫-第壱話-

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壱の肆





 調査三日目。
 保澄学園。
 時刻は午前十時。
「どう?ユーイチ」
「ああ、許可下りたよ。藤村さん付きだけど」
「全然オッケーだよ。じゃあ早く行こ」
 今日は朝一から午後三時までが勤務の藤村が同伴することを条件に被害に合った部室内を調査することを許可されたソラとユーイチの二人。その目の下にはくっきりと隈がある。
 その隈の理由は徹夜で事件についての調査……ではなく、朝まで周助に付き合っていたから。
 オールナイトでカラオケ。
 大のカラオケ好きだが友達がほとんどおらず、一人では店に入り辛い周助はたびたび二人を捕まえて歌い通す。
 そのせいで一睡もできなかった二人だが、得るものはあった。
『部室の鍵だけどな、昔は警備員もマスターキー持ってたぜ。今は各部活が責任を持って施錠するって方針だがな』
『ちなみにそのマスターキーは?』
『しばらく寅田のじーさんが預かってたが、一昨年くらいか、理事長が補完することになったって話だ』
 周助から二人が聞いた部室の鍵についての話。
 その情報をどうやって手に入れたのかは不明だが、情報の信頼度は非常に高い。今までその情報が間違いであったことは一度もない。
 それだけに情報入手の手段が非常に気になるところだが、ソラやユーイチが訊いても決して周助は明かさない。
「なるほどな。とりあえずその周助って人の情報を信じるとして考えれば、怪しいのは寅田さんってことか?」
「まあ、そうなりますね。鍵を手放す前に合鍵を作っていれば鍵の問題はクリアですし……とは言ってもわざわざ二年かけてまでやる犯行にしたらショボすぎます」
「なら……」
「はい、だから最終確認をしてるんですよ」
 寅田を擁護するような藤村の言葉を遮るように、ユーイチは一つ目の部室のドアを開けて言った。



作品名:察人姫-第壱話- 作家名:朝朽 司