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察人姫-第壱話-

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「さて、俺もオールするほど暇じゃないんだ。理由っつーか、用件を教えてもらおうか」

「理由ですか……まあ、簡単に言って確認ですよ。どのレベルで見回りをしてるのか」
「つまり抜き打ち検査か」
「はい、けど予想外でしたよ。机の下まで一つずつちゃんとチェックするなんて」
「まあな、寅田さんの教育の賜物ってことにしといてくれ」
 その後ユーイチとソラは藤村と共に見回りを行い、警備室に戻ったのは零時前。雑談の時間を引けばいつもと同じくらいの十一時半に帰って来れる計算だ。
「お前らこの後どうすんだ?」
「帰りますよ」
「いや、アシのことだよ。駅までなら送ってやるぞ」
「あ、大丈夫です。迎えを呼んでるんで」
「そっか……そんじゃ俺は帰るけど、もう一度入ろうとか考えんなよ?警報とか鳴ったら面倒だ」
「さすがにもう帰りますよ。迎えも五分くらいで来ますし」
 それを聞いて安心したように藤村は裏門にロックをかけ、中古の原付バイクで家に帰っていった。
 そして数分後、裏門前から二人も立ち去った。



作品名:察人姫-第壱話- 作家名:朝朽 司