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舞うが如く 第七章 4~6

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舞うが如く 第七章
(4)富岡製糸場


 巨大な敷地に建てられたレンガ造りの赤い工場、
それが日本の近代化を象徴する官営の製糸工場の「富岡製糸場」です。
木の柱と梁(はり)にレンガを積み込んだ、「木骨レンガ造り」のこの建物は、
西洋の建築技術などもふんだんに取り入れています。
木材を随所に使用して、屋根には瓦葺(かわらぶき)を採用するなど、
日本の建築技術とも見事に融合をさせています。


 この建物はフランス人のオーギュスト・バスチャンが設計したもので、
鉄枠のガラス窓や、観音開きのドアの蝶番(ちょうつがい)は
フランスで仕上げたものを持ち込んだといわれています。



 1万5千坪を超える敷地には、東と西に繭(まゆ)倉庫があり、
繰糸場(そうしじょう)を取り囲むように、
事務所、外国人宿舎などの主要な建物がコの字の形に並んでいます。



 富岡製糸場は、明治政府が日本の近代化を推進するために、
全国に先駆けて、群馬県に設置をした官営の模範器械製糸場です。
開国直後の日本にとって、綿(生糸)の輸出は
大きな利益が期待される産業のひとつです。
しかし、繭から生糸をつくりだしていた当時の製糸方法は、
粗雑な器具や手作業に頼っていたために、
たいへんに非効率的なものといえました。
そのために、フランスやイタリアの器械製製品に比べても、
品質面では、大きく劣ると評されていました。