白の枯れ園と揺れる僕ら。
2章 波乱の納め会、今年の終わり。
雪の日は嫌いじゃない。
雪自体は好きだった。綺麗だったから。それは私がインドアだったからというのにやっと気がついた。
なんせ寒すぎる。道場の床はストーブの周り以外冷たいし、足先の感覚は稽古が終わった頃に戻ったりする。
今日はなかなか皆来ないので掃除をするのは、ほぼ毎度のことだけど私だけ。寒いです、はい。
道着袴姿での剣道場はやたら寒い!
ちなみに、こんな寒い日にやる稽古を寒稽古といいます。
冬と夏にやる稽古は通常の稽古の3倍も効果があるとか云々。
時計の針は25分をさしています。
稽古9時開始のはずなのに誰も来ない。1年すら来ない!
30枚近くある柔道部の畳も上げ終わって、
(うちの柔道部やたら強くて関東の常連校
部員数も半端ないので柔道場+剣道場の半面でやっているのだ。)
掃除も終わろうとしてるってのに来ない。
笠間と迅はまぁいつもだけど。にしても来ないなぁ。
「もう12月28日かぁ・・・。」
今日は剣道部の稽古納め会ということで
基本稽古、要は技の稽古をした後に
部内試合のをして、午後から父母の方々ご協力の豚汁会だとか。
そして、掃除が終了と。
もう30分か。そろそろあの人が・・・来た。
「あっ。おはようございます!」
西篠先輩登場です。この冬のクソ寒いなかの夏用ズボンは意味がわかりません。
雪降ってるのに意味がわからん。あれでもボアコート持ってるし。
何がしたいんだこの人。
でも・・・。体弱いのに、無理してんだかなんだか。
「んー、おはよー。」
なんかいつもに増してゆるいなぁ。いいけどね。
西篠先輩の歩いた足跡はもう消え始めて真っ白な雪一面の世界に戻り始めていた。
作品名:白の枯れ園と揺れる僕ら。 作家名:成瀬 桜