OATH~未来につなぐシルベ~第一章(第5話・第6話)
第一章-自警団員への道- 第5話-ひとりじゃない!!-
■リディアの夢 聖地プレシャス 舞踏館<シーンNo.5-1>
聖地プレシャスにある舞踏館。
そこで、なにか大きな会があったのか、大人や子供が優雅に社交ダンスを踊っている。
その中に前に夢で出た『あの少女』がいた。少女は肌を露出した赤色の派手なドレスを着ている。今度は前と違ってやけに明るい。パートナーは8歳ぐらい年上の黒スーツの少年だ。
少女「ほら、もっと優雅に踊って!あたしの『執事』なら、これくらい出来ないといけないわよ!」
少年「は、はい!お嬢様」
少年はどうやら彼女の執事のようだ。その割にはずいぶんと及び腰な姿勢で、ぎこちない。
少女「ほら、背を伸ばす!シャキッとする!!」
少年執事「はいっ!」
少年執事は背を伸ばす。
少女「あたしのリズムに合わせて!」
少年執事「はい!」
少年執事、少女のリズムに合わせ、左右に彼女を揺らす。
少女「(踊りながら)そう!いい感じじゃない。さっすがあたしの執事ね!」
少女、踊りながら少年執事に向かって微笑む。
少年、顔を赤くしながら、
少年執事「(照れながら)あ、ありがとうございます・・・・・・」
少女「こら!背を伸ばす」
少年執事「あっ、はい!」
少年執事、背筋を伸ばす。
二人は楽しく踊る。
それを後ろから見つめるリディア。リディアの姿はここにいる人たちには見えない。
リディア(またあの子だ・・・・・・彼を執事と言っていた・・・・・・あの男の子とずっといたような・・・・・・)
リディア、気難しい顔をする。
リディア(それにここ・・・・・・前に見たときは、悲惨なことになっていたけど・・・・・・これはその前の出来事なの?)
考え込むリディア。
フェレル「リディア!」
リディア「!」
どこからか、フェレルの声がする。
リディア「フェイ!」
リディア、辺りを見回す。
フェレル「リディア!!」
リディア、上の方を見つめる。
リディア「!」
辺りがいきなり真っ白になり、リディアの意識は飛んだ・・・・・・。
※イベント終了。このまま『ヴェノム海底遺跡 地下』のイベントに進む。
■ヴェノム海底遺跡地下<シーンNo.5-2>
リディア「わあっ!!」
ガバッと起き上がるリディア。
彼女の右隣には、うつ伏せのままで依然と気を失っているレイナがいる。
リディア(あの光景・・・・・・ホントの夢?それとも、あたしの記憶・・・・・・?)
リディア、考えこむ。が、目の前の状況に気づき、思わず首を横に振る。
リディア「いやいや今は、そんなことをしている場合じゃない。えっと、なんでこんなところにレイナと二人っきりでいるんだっけ?」
リディア、天井を見上げる。
小さな瓦礫が落ちてくる。
リディア「そっか。あたし、レイナと一緒に落ちたんだっけ・・・・・・」
フェレル(声のみ)「リディアーッ!!」
ルリ(声のみ)「リディアちゃーん!!」
上からフェレルとルリの声が響く。
リディア、立ち上がって上を見ながら、
リディア「(大声で)フェーイー!ルリさーん!」
ルリ(声のみ)「リディアちゃん!」
フェレル(声のみ)「無事か!?」
リディア「なんとかね」
フェレル(声のみ)「そこから出口の方へ行けそうな道はないのか?」
リディア、奥を見つめてこの先に道があることを確認。
そして、上を見上げながら、
リディア「うん!道があるから、たぶん大丈夫!」
ルリ(声のみ)「分かったわ!じゃあ、遺跡の入口で落ち合おう」
リディア「分かりましたーっ!」
フェレル(声のみ)「魔物にやられるなよー」
リディア「言われるまでもないわよ、フェイ!あたしを誰だと思ってるのよ!絶対に戻ってくるから、待ってなさいよ!」
フェレル(声のみ)「ああ!無事に戻ってこいよ!!」
リディア「当然!」
リディア、前にある道を見つめる。
リディア「さてと、レイナを抱えて二人の下へ行きますか・・・・・・出来る限り魔物に会わないようにしないとね・・・・・・」
リディア、右隣で気を失っているレイナをおんぶする。
リディア「よいしょっと!・・・・・・それじゃあ、行くわよ!!」
リディア、レイナをおぶったまま歩き始める。
※イベント終了。操作が可能になる。
■ヴェノム海底遺跡地下 中間地点<シーンNo.5-3>
ひと休みできそうな場所までたどり着いたリディア。
魔物の気配も感じない。
リディア「ふう。ここなら少しは休憩できるかな。おんぶしながら歩いていたから、さすがに疲れたよ~」
リディア、レイナを寝かせて休憩する。
リディア、レイナを見つめる。
リディア「全く、人の気も知らないで・・・・・・」
レイナ「ん・・・・・・」
レイナの体がピクっとする。
レイナ、目が覚める。
レイナ「ん・・・・・・ここは・・・・・・?」
リディア、レイナを真上から顔をのぞかせる。
リディア「おっ・・・・・・気がついた?」
レイナ「!!」
レイナ、リディアの存在に思わずびっくりして、座りながら後ずさりする。
リディア、呆れながら、
リディア「・・・・・・はぁ、せっかく助けたのに、そんなに驚かなくても・・・・・・」
レイナ「・・・・・・助けてくれた?それって、私のこと・・・・・・ですか?」
リディア「そう!あんた以外に誰がいるってのよ。操られていたのよ、この本の怨念に!」
リディア、レイナが持っていた本を見せる。
レイナ「!」
リディア「はい。これはもう、あんたの物よ」
リディア、レイナが持っていた本を本人に渡す。
レイナ「・・・・・・」
レイナ、何も言わずに本をもらう。
希望を失ったかのように、彼女は落胆した表情で地面を見つめる。
そんなレイナを気にせずに、リディアは自分のことを話す。
リディア「そういえば、自己紹介がまだだったわね・・・・・・あたしはリディア。リディア・リーベよ、レイナ」
レイナ「!」
レイナ、自分の名前を知っていることに驚く。
レイナ「(驚きながら)ど、どうしてわたしの名前をし、知っているのですか!?」
リディア「・・・・・・そ、それは、ジャスティスの入団試験であんたの父親から『娘を探してほしい』という依頼があったから・・・・・・」
レイナ「・・・・・・!」
レイナ、立って逃げようとする。
リディアもすぐに立って、
リディア「無駄よ。そっちは行き止まり」
レイナ、思い詰めたような苦しい口調で、
レイナ「(リディアを見ながら)で、でもわたし、『力』を手にするまで帰れません!!」
リディア、レイナの下へ来て、彼女の両肩をもつ。
そして、殺気を出しながら、
リディア「いいから、ここにいろ!!落ち着け!!」
レイナ「(怯えながら)は、はぃぃ~!!」
リディア、やれやれと呆れた表情で、
リディア「(呆れたように)・・・・・・ったく、も~!み~んな、あんたのことを心配してるっていうのに・・・・・・!」
レイナ「皆・・・・・・?」
作品名:OATH~未来につなぐシルベ~第一章(第5話・第6話) 作家名:永山あゆむ