笑ミステリー 『女王様からのミッション』
クラマ姫は両手を大きく広げた。それはもっともっと青い光を全身に受け止めたい、そういう意志の表れなのだろうか。
そして、その手を高く差し上げ、最頂点で左右の手の平を合わせた。
高見沢は今までこんな光景を見たことがない。それは神々しくて幻想的。これを絵画のごとく描写して表現すれば……、妖にして艶。
高見沢はこれほどまでに妖美なるものがこの世にあったのかと、我を忘れて見入ってしまう。これこそ究極なる美なのかも知れない。
そんな時に、クラマ姫は何の音も発せずに、すーと青い光の中へと消えて行ってしまった。
そしてその後には、その妖にして艶なる美。その女体の残像だけが残ったのだった。
作品名:笑ミステリー 『女王様からのミッション』 作家名:鮎風 遊