笑ミステリー 『女王様からのミッション』
さすがハバネロ湯、肌がピリピリと痛い。
そこへバスローブを脱いだ美人、ヒューマノイド・ララちゃんが素っ裸で現れた。
しかし、同じようなピカピカ光る電脳冠を被っている。
そして、結果は同じく……ドボン。
それと同時に、目の前に閃光が強烈に走る。実に眩しい。
そしてその光波に合致するかのように、トンガラシの激辛エキス・カプサイシンが身体中の神経を刺激し、脳をギンギラギンと励起させてくる。
「あ〜あ、もう色気もへっちゃくりもないよなあ」
高見沢はあまりの激辛カプサイシン攻撃を受け、放心状態。
こんな状態が五分ほど続いただろうか、もう高見沢は完璧に腑抜け状態。しかし作業は着々と進み、高見沢の魂はララちゃんの人工脳に、無事にコピー・貼り付けされた。
こうしてすべての処理作業は完了したのだ。
「高見沢様、頑張ったね、グッジョブよ!」
マキコ・マネージャーからお褒めの言葉が飛んできた。しかし高見沢には、「まあな」としか答える力が残っていない。
だが横にいるベッピンロボ・ララちゃん。「ヤッター! ついにオッサンの魂を吸い取ってやったわ。これで高見沢さんみたいに、罪悪感なしで、厚顔無恥(こうがんむち)にワンサカと遊べるわ」とほざいている。
まことに残念なことだ。そこにはもうあの可憐な美人ロボ・ララちゃんはいなかった。
「こいつ、ホント、俺の魂を吸い取ってしもうて、満身創痍で、捻れていて、ヨレヨレではあるが、粘着力のある女性ロボ・高見沢一子になってしまいよったよ。だけど今後のロボ人生、その方が図々しくも幸せになるかもな」
高見沢はしみじみとそんなことを吐いてしまっているのだった。
作品名:笑ミステリー 『女王様からのミッション』 作家名:鮎風 遊