笑ミステリー 『女王様からのミッション』
「バーカ、その反対よ。発情抑制卑弥呼ドリンクよ。だって高見沢さんて、その場になれば、ララちゃんに何をしでかすかわからないでしょ」
マキコ・マネージャーが明らかに不信感を露わにする。高見沢はこれにはめっちゃ不満。
「何を言うんだよ、相手はロボットなんだぜ。そんなん一緒にお風呂に入ったからって、俺が発情するわけないじゃん」
こんな主張をしている時に、真っ白なバスローブを羽織った一人の女性が現れ出てきた。
「いらっしゃいまーせ、ニュー・フェースのララでーす」
「おっ、ララちゃん? これはスゴイ! エグエグの色気あり過ぎじゃん!」
一気にセクシャル・テンションが急上昇。そんな時、いつの間にかそばに寄り添ってきていたマキコ・マネージャーが高見沢の耳元で一言囁くのだ。
「でしょ」
「うーん、確かにな。これはスケベ心の自主抑制が必要かもな」
高見沢がそんなことをぽつりと呟くと、今度はマキコ・マネージャーからいきなりの掛け声が。
「イッキ、イッキ、イッキ!」
高見沢はこれに調子を乗せられて、その掛け声に合わせ、発情抑制・卑弥呼ドリンクをグビグビとイッキ飲みをしてしまうのだ。
しかし、この卑弥呼ドリンク、これがまたメッチャ苦い。
「マッズイのー!」
高見沢は思わず悲鳴を上げた。そんな時に数人のスタッフが現れ、パッパッパッと高見沢の服を脱がしてしまう。
「いきなり何すんだよ!」
高見沢が大声で怒鳴り、口をパクパクさせていると、その口をさらにガバッと開けられて、苦みの残る口内の皮膚、それを遠慮なく剥ぎ取られた。そして、その一片をDNA鑑定に。
しかし、さすがバイオ立国、その鑑定結果がすぐに出てくる。
高見沢の邪馬台国民族への近親度は、2の30乗レベルでかなり近い。とにかくそう判定された。
「高見沢様ほど邪馬台国国民に近い方は、そうおられないのですよ。これって、名誉あることだわ、まずは卑弥呼女王にそう報告しておきます」
そんな話しを聞かされている内に、頭にピカピカ光るクラウンが。そう、どこかの宗教団体が被っていたような冠、それをガバッと無理矢理に被せられた。後はスタッフたちにいきなり抱えられて、薄緑色の浴槽にドボンと放り込まれたのだ。
作品名:笑ミステリー 『女王様からのミッション』 作家名:鮎風 遊