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「姐ご」 7~9

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 と、ついには、啖呵をきってしまいます。
こんな塩梅ですから、ある朝、3人そろった朝飯の膳で事件がおこりました。
瓦屋が、面と向かった奥さんに、おもむろに口を開きます。



 「おっかぁ、
 どうしても一緒になりたい良い女がいるんだ。
 頼むから一緒にさせてくれ。
 俺も本気だし、向こうの女もその気でいる、
 そんなわけだ、
 そういうことだから俺と別れてくれ。
 じゃあ、たのんだぜ。」



 お嫁さんは、茶碗と箸を持ったまま目を丸くして
かたまってしまいます。
おばあさんはおろおろしつつ、息子と嫁を見るばかりです・・・
瓦屋は平然として飯をかきこむと、じゃあ行ってくると、
いつものように席を立ちました。
あれから10年、瓦屋の愛人は今度の女性で3人目です





 味噌汁を作り始めた時のことでした。
左手から、握ったはずのお玉がカラリと床に落ちました。
珍しいなと、腰を低くして左手で落ちたお玉を拾います。
再び握ったつもりが、これもまた、
手のひらからはらりとこぼれて落ちました。


 「呑みすぎたかな・・・」


 右手で拾い直して味噌汁を仕上げ、朝食を済ませると、
いつものように道具箱をかついで仕事の現場に出かけていきました。
その日は、思うように身体のうごかない一日になりました
痛みを感じないものの、
はた目から見ても動きは遅く、見るからにふらつき通しの様子です。
見かねた棟梁が声をかけました。




 「おい、瓦屋、
 大丈夫かよ、ふらついているぞ。
 足元が危ねえなぁ・・・、
 風邪でもひいたんじゃねえのか?
 早めに仕舞って医者にいったらどうだ。」




 さすがに違和感を感じていた瓦屋が、言われたままに、
かかりつけの医者に足を運びます。
しかしこの瓦屋に症状に、担当医の診察にきわめて速いものがありました。
すぐに救急車が呼ばれ、脳外科の専門病院に搬送されてしまいます。


(10)に続く

作品名:「姐ご」 7~9 作家名:落合順平