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姐ご」（4）

工藤厩舎


　「工藤」は、中卒で
単身青森から出てきて、高崎競馬の騎手になる道へと進みました。
地方競馬教養センターで2年間学んだあと、
地方競馬騎手試験を受けて18歳で、
晴れて騎手としてデビューしました。


　以来、地方競馬で2000勝まであと12という時に
体力の衰えと、減量苦に耐えかねて、ついに引退を決意します。
騎手生活が20年余、高崎競馬場では、
工藤ありと呼ばれたこともある男です。




　この「工藤」が、調教師の資格を取ったのが2004年のことです。
それは皮肉にも1923年に設立されて以来、
80年近い歴史を持つ高崎競馬が、多額の累積赤字をめぐって、
その存続が絶望視され始めた年のことでした。



　栃木県の宇都宮競馬場の廃止も決まり、
名馬オグリキャップを産んだ岐阜県の笠松競馬場も廃止が濃厚となり、
ハルウララ人気で一時は人気を盛り返した高知競馬場も
再び、赤字に転落している時のことでした。




　一人勝ち状態の中央競馬は別として、
21ある地方競馬の主催者のうち、実に17が赤字経営なのです。
競馬場が廃止されれば、そこで働く
騎手・調教師ら関係者が一斉に職を失います。
さらに競走馬の産地が大きな打撃を受け、巨額の累積赤字は
それぞれの県民や市民の税金にのしかかります



　高崎競馬場は
これまでに収益金、約182億円を自治体に納めてきましたが、
ここ数年は赤字が続き、年度末には累積58億円の赤字の見通しとなったため、
ついに2004年12月31日で幕をとじることになったのです。