OATH~未来につなぐシルベ~第一章(第3話・第4話)
■海上都市ヴロール 中央広場 ステージ前<シーンNo.3-8>
先ほどのステージ会場へ来た二人。スタッフがステージの機材をせっせと片づけている。
近くにいるスタッフに声をかけるリディア。
リディア「すいませ~ん」
スタッフ(男性)「なんだい、嬢ちゃん。何か用かい?」
フェレル「あの、俺たち『ジャスティス』の者なんですが、ルリさん会うことはできますか?」
スタッフ(男性)「ルリさんに?ああ、いるよ。ちょっと待ってて」
スタッフはステージの裏の方へと行き、ルリに確認を取りに行く。
スタッフは機材の片づけでせわしなく動き回っている。
リディア「さすがに忙しそうね・・・・・・」
フェレル「あれだけのステージだったんだ。こんなにスタッフがいるのも当然だな」
リディアとフェレル、スタッフの働きぶりを見つめる。
スタッフ(男性)「お待たせ!」
先ほどのスタッフが急ぎ足でリディアたちの下へ駆けつけてくる。
フェレル「会えそうですか?」
スタッフ(男性)「うん。案内するよ」
※一瞬、画面が暗くなり、つぎのイベントに進む。
■海上都市ヴロール 中央広場 ステージ裏<シーンNo.3-9>
二人はステージの裏にある、テントの中へと案内される。
奥の方で草むらの上を華麗に踊っている彼女-ルリ・リヒトがいる。
スタッフ(男性)「(大声で)ルリさーん!!連れてきましたよ――っ!!」
ルリ(声のみ)「分かったーっ!!君たちー、ここまで来てーっ!」
リディア「は、はい!」
リディア、ルリの下へと走る。
フェレル「(スタッフに向かって)あ、ありがとうございます」
スタッフ(男性)「頑張れよ!」
フェレルもルリの下へと走っていく。
ルリの下へときた二人。ステージのときに着ていた衣装のままである。
相も変わらず、凛とした容姿である。
ルリ「初めまして、アタシがルリ・リヒトよ」
リディア「は、初めまして・・・・・・リディア・リーベです」
フェレル「フェレル・リュックズィヒトです」
ルリ「リディアちゃんにフェレル君ね。・・・・・・なるほど、君たちが例の団員候補者ってわけね」
フェレル「ええ、そういうことになります」
リディア「ルリさん!本当はあのステージのことについて話したいんだけど・・・・・・」
フェレルにアイコンタクトを取るリディア。
フェレル「それはこれが終わってからだな」
リディア「(フェレルを見ながら)そうね。(ルリを見ながら)・・・・・・いきなりですが、レイナさんは一体どこに行ったの・・・・・・ですか?ルリさんがレイナさんと話をしていたとか」
ルリ「レイちゃんのことね。・・・・・・確かに、あの子はアタシの下へと来たわ。何かを探していたみたいわね。何でも、バーク支部長に何としても旅に出ることへの説得に必要だとか・・・・・・」
リディア「・・・やっぱり、旅に出たいんだ・・・・・・で、あの頑固支部長を説得するための何かしらの『力』が必要で、それを見つけるためにここまで来た、と・・・・・・」
ルリ「そう。バーク支部長が過保護すぎるのよ。まあ、男手ひとつで育ててきたからそうなってしまうんだろうけど」
リディア「そう、ですね。子を思う親の気持ちは暖かく、強いものがありますからね・・・・・・」
バークがシスター=リーベと重なるリディア。
フェレル「で、彼女は一体どこへ行ったのですか?」
ルリ「『ヴェノム海底遺跡』というところへ向かったわ」
リディア「ヴェノム海底遺跡・・・・・・?」
ルリ「最近、ジャスティスの団員が発見した遺跡なの。調査結果によると、歴史的な書物や宝などはなかったはずなんだけど・・・・・・レイちゃんが持ってきた怪しい地図で記された場所がここだったんだよね・・・・・・」
リディア「怪しい地図?」
ルリ「ええ。マノーラの街を歩いているときに、黒服で顔を隠した怪しげな商人からもらったみたいなんだけど・・・・・・」
フェレル「黒服で顔を隠した怪しげな商人・・・・・・」
ルリ「私は怪しいから彼女を引き止めようとしたけど、引き下がらなくてね・・・・・・」
リディア「はぁ~まるで、あたしたちの村を襲ったどこかの誰かに似てるわね・・・・・・」
フェレルに確認をとるかのように見つめるリディア。
フェレル、頷きながら、
フェレル「ああ。何かありそうだな・・・・・・」
リディア「決まりね。しっかし、ここまで『力』を追い求めているなんて・・・・・・他に方法は、いくらでもあるはずなのに・・・・・・」
フェレル「ああ。ジャスティスに入団したい理由が知りたくなっちまうよ」
リディア「あの堅物な支部長が一番の原因だと思うけど・・・・・・」
ルリ「まあ、それもあるわね。でも・・・・・・」
ルリ、リディアとフェレルを真剣な眼差しで見つめる。
リディア「ルリさん?」
ルリ、意を決したように、
ルリ「そうね。君たちには話さないといけないわね。彼女の過去を・・・・・・」
リディア「レイナの過去?」
ルリ「うん。アタシが7年前、マノーラでジャスティス団員として活動していたときの事よ。今でも忘れられないわ。あのクーデター事件は・・・・・・」
※このままイベントが続き、回想シーンへ
■回想 7年前(グレイン暦2003年)の築城都市マノーラ<シーンNo.3-10>
※装甲を身に着けた襲撃部隊がマノーラを襲っているところを1枚の絵として表示される。
ルリ(声のみ)「7年前、バーク支部長の政治のやり方を良くないと思っている連中―過激派の者たちが突如、武器を持って街で大暴れしたの。市民のことを何も考えずに殺して、暴れまわるという悲惨な行為でね」
※ジャスティス団員、ソヴェット・ゲシュオスの指示で、団員やアフロディテ軍の隊員が過激派と応戦しているところを1枚の絵として表示される。
ルリ(声のみ)「その過激派を抑えるためにアタシは、当時先輩で尊敬していたソヴェット・ゲシュオスさんって方を中心にジャスティス団員と軍による共同作戦で市民を避難させながら、過激派の勢いを抑えたわ。だけど・・・・・・」
※レイナ(当時10歳)が過激派によって取り押さえられているシーンを一枚の絵として表示される。
ルリ(声のみ)「当時まだ幼かったレイちゃんが過激派につかまってしまったの。彼女を人質に取られ、劣勢になったけど・・・・・・」
※ソヴェット、隠し持っていた閃光弾を投げるシーンを一枚の絵で表示。
ルリ(声のみ)「ソヴェットさんが軍から貰っていた、『閃光弾』を投げて過激派の目をくらませ、レイちゃんをその場から逃がすことに成功したの。しかし・・・・・・」
※ソヴェットが過激派に囲まれ、それを後ろから見るルリとレイナを一枚の絵で表示。
ルリ(声のみ)「逆にソヴェットさんが囲まれて・・・・・・アタシは過激派を倒そうとしたけど・・・・・・」
※囲まれて窮地に追い込まれているソヴェットが右を向いてニヤリとしているシーンと泣きながら逃げ出すルリとレイナのシーンを一枚の絵で表示。
作品名:OATH~未来につなぐシルベ~第一章(第3話・第4話) 作家名:永山あゆむ