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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第十一回】きみの て

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「何のために?」
そう聞く矜羯羅の隣には相変わらず眠さをこらえている制多迦
「そもそも時って…」
「いい加減にしないか…」
空間の中に響いた声は矜羯羅のものでも制多迦のものでもなかった
「…僕は今なら竜の考えに賛成だね」
「…くも」
矜羯羅が言うと制多迦も頷く
「…黙れ」
ピシッと空間の空気が固まった様な一瞬
「僕様の考えは絶対だって…知ってるだろう?」
「だから何なのさ」
ひるまず矜羯羅が言う
「上に背く気か矜羯羅」
聞こえたのはまた別の女性とも聞き取れる声
「いくら二人とて上に背くのは…」
そしてまた別の声

「矜羯羅様…制多迦様…」
矜羯羅と制多迦の後ろで不安そうな顔をしているのは慧光
「…向こうで【天】と関わりすぎ毒気にやられたか…しょうもない奴等だ」
「その逆だよ」
矜羯羅がふっと笑って言った
「僕らは向こうに行って…ここでの毒が抜けたんだ」
「ここが毒だと?」
女性のような声が多少の怒っているとも捕らえられる口調で聞く
「ああ…そうだよここは毒だね…だから僕らは向こうに惹かれたんだ」
矜羯羅が言うと制多迦が嬉しそうに頷いた
「僕はもう従わない」
矜羯羅がキッパリ言い切った
「矜羯羅様…!!」
ソレを聞いた慧光が驚き足を一歩前出だした次の瞬間

シュン

という音とまぶしい光が同時に押し寄せたかと思うと慧光の目の前から制多迦と矜羯羅が消えた
「右だよ避けたんだ」
二人が消えたことでさらに驚いている慧光に隣にいた鳥倶婆迦が右方向を指差しながら言う
「…ソレは本心か?」
制多迦に抱えられていた矜羯羅が足を下ろして立ち上がり目線を向けた先には小さな玉
「僕は冗談が嫌いだよ」
口元は笑っていても目つきは真剣そのものの矜羯羅が玉に向かって言った
「…制多迦」
どうやら玉から聞こえているらしいその声が制多迦を呼ぶと眠そうだった制多迦(せいたか)の目が少しだけ鋭くなった
「…くも矜羯羅と一緒だよ」
そしていつもより少しキリっとした口調で答える
「わ…私もナリッ!!」
慧光が声を上げた
「おいちゃんも向こうが好きだよ」
慧光に続いて鳥倶婆迦も言う