夜中の巡回
……何事もなく仕事も終わり、朝帰る時には、田中さんの話はすっかり忘れていた。
明後日、再び出勤した私は、凍りついた。
私が帰った日のその夜、田中さんは急変し、亡くなったのだという。
すぐに悪化する病気もなかったため、原因不明だった。
すぐさま、あの〝看護婦〟のことが頭をよぎった。田中さんが会ったというナースキャップの看護婦は、田中さんに死の予告をしに来たのだろうか。
それとも―――……。
誰もいない部屋から鳴る、ナースコール。鍵のかかったリネン庫から聞こえる囁き声。
そういう噂が、後を絶えない。
私は今日も仕事だ。
そして夜勤がくる時、必死で願う。
誰も、あの看護婦に会いませんように………。