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降誕祭

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今年もつつがなくこの季節がやってきた。
 聖歌隊が忙しそうに練習に切磋琢磨し、(伴奏を担当している少年リストもこのところ、毎日図書館にはよらず、食堂に直行している)声楽科のオペラが舞台に華を咲かす、この季節が。

 降誕祭といえばオペラというのがこのさる音楽学校の習わしのようで。全組(チーム)がそれぞれ演目を並べるのである。それが数日間に渡って上演されるのだ。(一つの上演準備時間が二時間前後になるので)
 もちろん、それに必要不可欠のオーケストラも結成される(選択制)。オペラの演目が決まり次第、それが生徒一人一人にプリントとして配られ、同時に楽団員募集も開始される。人数が集まったところで締め切られ、それぞれの学年から指揮者が選出されるのだ(立候補制はない)。
 そして朝礼時に、そのプリントが配布される。ずらりと並んだ、演目の六演目――『風組:一般ピープルの楽園』という文字がまず目に入った。
 その文字を理解した瞬間、少年コチアンは一度新調したばかりの眼鏡の度を疑ってしまった。大概、こういうイベントには伝統的な古典オペラが選ばれる(季節もあるが)。
 そこにミュージカルからの演目を持ってきたのは、さすがに予想外のことだった。よく声楽の御上が許したものだ。しかしながら、この学院の教師陣は年齢に関係なくなかなか頭が柔らかいお方が多くを占めている。その上、新しいもの好きの方も少なくない。意外とこぞって賛成したのだろう。

 そう思い当たり、コチアンは微苦笑した。

 
作品名:降誕祭 作家名:狂言巡