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そういえば・・・(6/5編集)

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 新菜(にいな)・D・カウディーの兄はすごい早口だが、活舌がいいので聞き取りやすい。

「いいかニーナ。兄ちゃんが居ない間変なことするんじゃないぞ。つか何もするんじゃないぞ。怪我でもしたら大変だからな……万が一でも怪我したらすぐに俺に連絡しろ。台所は自由に使っていいが火と刃物には気をつけろよ。あと誰か来ても居留守を使え。お友だちも今日だけは我慢してくれ。いいな? わかったか?」
「わかったよー兄さんがかえってくるまであたしおとなしくまってるねー」
「それと戸締りもしっかりしとけよ! 絶対夕方には戻っから……」
「わかったってばーはいはい、いってらっしゃーい」

 今日は新菜一人で留守番することになった。シッターは定休日で、兄は急に仕事が入ってしまったのだ。
 新菜は出張にいく兄をベランダで見送る。兄はそれでもまだ不安なのか、角を曲がりきるまで妹をちらちら見ていた。新菜は兄の姿が完全に見えなくなるまで手を振った。

「わーい! フリータイムだー何しようかなっ」

 自分以外家に誰もいないのは確かに寂しいが、苦ではない。兄の出張は今日にはじまったことではないし、一人で趣味に耽る時間も好きだ。一人がつまらなくなったら友人に電話をかけてお話するのもいい。
 昼はうどんをゆでて食べた。いつもは兄かシッターと食べるが一人で食べても美味しい。

「あー食べてる時って何でこんなに幸せなんだろね」

 暇だから家事でもしようかと思うが、昼食の前に済ませてしまっていたことに気づく。お腹がいっぱいになったせいか急に瞼がどんどん重くなってきた。

「ねむくなってきちゃったなぁーねちゃおッかなーねむいよーねむい……」

 ソファーの上にごろんと転がると自然に瞼も降りてきて、一回開けてみようとはぜんぜん思わなかった。ソファーがふかふかしていて気持ちよかったのもあるけど。
 躰がだんだん重くなってきたのを感じながら、新菜はゆっくりと意識を手放した。