ラストプレゼント
むかしむかしの、お話です。
ある初夏の夕方のことでした。海の中では、魚たちと共に海の妖怪たちもゆっくりとそこら中を泳ぎまわっていました。
そこへ、いきなり大きな音がしたかと思うと、真っ黒な何かの塊が海に落ちてきたのです。
ポロロン、バーン!
夕日でピカピカ光る、その大きな物体は、不思議な音を響かせながら海の底までやってきました。
落ちてきたのは、トラックで運ばれてきた古いピアノです。船の中へ運ぼうとした作業員が、うっかり手を滑らせてしまったのでしょう。
『なんだ、なんだ?』
ビックリした魚たちは逃げてしまいましたが、妖怪たちは我先にと近寄ってきて、ピアノの周りに集まりました。
「もしかすると、たべものかもしれないな」
海坊主が、大きな目をぐりぐり動かしながらいいました。
海牛はピアノの足をなめていましたが、とくに美味しい味はしないようです。
「いいえ、これはかがみよう。だって、わたしのすがたがうつってるじゃあないのさ」
トモカヅキがいいました。
「はたおりだいじゃぁないのかい。こんなにたくさんのいとがくっついているよ」
船幽霊たちは、杓子でピアノ線を指していいます。
一匹の海小僧がペダルの上に乗っかりました。
グワーン……。
突然ピアノがとんでもない音で鳴らしたので、みんなさすがに驚いて逃げて帰ってしまいました。
ある初夏の夕方のことでした。海の中では、魚たちと共に海の妖怪たちもゆっくりとそこら中を泳ぎまわっていました。
そこへ、いきなり大きな音がしたかと思うと、真っ黒な何かの塊が海に落ちてきたのです。
ポロロン、バーン!
夕日でピカピカ光る、その大きな物体は、不思議な音を響かせながら海の底までやってきました。
落ちてきたのは、トラックで運ばれてきた古いピアノです。船の中へ運ぼうとした作業員が、うっかり手を滑らせてしまったのでしょう。
『なんだ、なんだ?』
ビックリした魚たちは逃げてしまいましたが、妖怪たちは我先にと近寄ってきて、ピアノの周りに集まりました。
「もしかすると、たべものかもしれないな」
海坊主が、大きな目をぐりぐり動かしながらいいました。
海牛はピアノの足をなめていましたが、とくに美味しい味はしないようです。
「いいえ、これはかがみよう。だって、わたしのすがたがうつってるじゃあないのさ」
トモカヅキがいいました。
「はたおりだいじゃぁないのかい。こんなにたくさんのいとがくっついているよ」
船幽霊たちは、杓子でピアノ線を指していいます。
一匹の海小僧がペダルの上に乗っかりました。
グワーン……。
突然ピアノがとんでもない音で鳴らしたので、みんなさすがに驚いて逃げて帰ってしまいました。