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きのう・きょう・あした

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   「きのう、きょう、あした」という詩はそんななかから生まれました。

 (・・・・・・・・・・・)

   詩集「風のように」を手にした渡辺さんは「きのう・きょう・あした」に感動し、
   「この詩に曲をプレゼントさせて下さい。そして病室でクリスマスコンサートを
    開きませんか」と手紙に書きました。
   そして昨年暮、剛さんの地元、玖珠町の有志によって曲のお披露目コンサートが
   開かれました。

 (・・・・・・・・・・・)

   この曲は残念ながら発売されていません。CD化の予定は
   決まっていないようです。
   先日、渡辺さんにこの曲をKISで紹介したいとお願いしたところ、
   渡辺さんもとても喜んでくださいました。             

   佐伯淳子                               』

 (・・・・・・・・・・・)

メールを読み終わってもしばらく、ボォーッと宙を見てました。いろんな想いが頭の中をグルグル
よぎっていきます。

 (もう一度、歌を聴いてみよう。何となく、おぼろげながらこの曲の由来が分かったような、
  分からないような感じだけど返事のメールを読む前までとは全く違う想いで曲が聴けそうだ・・・)

再度KISのページに接続して「きのう、きょう、あした」を聴きました。

 (・・・・・・・・・・・・)

流れてくるメロディーの美しさと、詩が出来るまでのいきさつがある程度理解できた今不覚にも
目頭が熱くなってしまったのです。一筋の涙がほほを伝わっていくのを止めることは出来ません
でした。

 (誰かにみられたらヤバイ!・・・)

戦後生まれとはいっても、男が人に涙を見せるべきでは無い。という考えがしみ込んでいる世代
でもあるので、人前では極力気を紛らわせて涙が出るのを我慢する習慣はついている。しかし、
最近歳と共に、涙腺も若干ゆるみがちで不覚にもテレビを見ながらでも涙を我慢できなくなることも
しばしばであった。早速この文章に対して返事を書くことによって、もっと何か分かるかもしれないと
メールを書き始めた。

  『早速、コメントしていただいてありがとう御座います。
   わたしも、こうして参加させて(視聴者として)貰って、大変感激しています。
   地元にも立派なアーティストはいるのですね。
   ついつい、中央のテレビに出ているスターばっかり注目されていますが
   地元で活動している、彼女(渡辺知子さん)のような人にも注目して
   欲しいですね。
   それと、私の娘(高3)も10年ほどエレクトーンを習っています。
   なんだか、よけい親近感をおぼえました。
このようないきさつを詳しく知れば、又一層あの曲がすばらしく感じます。
   歳をとって涙腺がゆるんできていますので、ついつい目頭が熱くなります。
   CDがでれば良いですね。絶対に買います。人にも勧めます。
   CD出すのはどのくらいお金がかかるのでしょうかね。
   昔のレコードにくらべればずいぶん簡単に、安くなったと思いますが。  』

 (今日は一気に2通もメールを書いてしまった・・・すごい!
  しかし、佐伯淳子さんて、どんな人なんだろう。一度直接会って話を聞いてみたいな。
  記者生活4年とは、テレビかラジオの記者さんなんだろうか? 子供の頃渡辺さんの
  エレクトーンを聴いていた、というからにはまだ若い女性かな?・・・)

 しかし、このメールに対する反応はすぐには何もありませんでした。

2,3日があっという間に過ぎていく、2月は逃げるんだよ、とかいいながらも普段の仕事に
また戻っていくしかない、普通の市井の1市民の姿であります。
その後しばらくは、又もとの通りROM状態に戻り、一日一回夕食後にメールの確認をする
毎日であった。
 そんな折り、そう、あれから1週間もたった頃、多くのメールに混じって見知らぬ名前で
一通のメールが届いていました。宛先は正彦個人のアドレスへ。差出人は山野明子とありました。

 『中里正彦様
   はじめまして、山野明子と申します。突然メールを出す失礼をお許し下さい。
  NFKの方にとも、思ったのですが私はNFKに参加してまだ一通もメールを書いた
  事が無く、自分の意見を皆さんに見て貰うのにはとても抵抗がありましたので、この
  ような形をとらせて、頂きました。

 (・・・NFKのメンバーの一人なんだ・・・)

  実は、私も中里様の2月2日のメールを読ませていただいた後で、渡辺知子さんの歌
  を聴きました。そして、佐伯淳子さんのメールを読んで「きのう、きょう、あした」
  が生まれたいきさつを知り、とても感動しています。また、人ごとではすまない事情が
  あるのです。それは、私も3つ下の弟を10年前に進行性筋ジストロフィーで天国に
  見送ったのです。17年間の短い生涯でした。10才で発病し7年間の病気との闘い
  でしたが姉として何もしてあげれなかった事が今も心の中のしこりとして残っています。

 (・・・・・・・・・・・・)

  いままでのメールだけでは大石剛さんがお幾つなのか分かりませんが、あんな素晴ら
  しい詩を創られるなんて、身内に同じ病気を経験した者としてはとても信じられませ
  ん。これからももっともっといい詩を創って欲しい、という思いでメールを書くこと
  を決心しました。忘れかけてた過去なんですが、忘れてはダメだという、天国の弟か
  らの導きがあったのでしょう。できれば、詩集の「風のように」がどこに行けば手に
  入るのかも知りたいと思います。
  見ず知らずの中里様に対して失礼かとは思いましたが、あの歌にいち早く反応された
  お気持ちがとても嬉しくて書いてしまいました。これからもこの件につきなにか分か
  りましたら教えて下さいますようお願いいたします。
                                    山野明子』

 何かいいしれぬ、不思議さを感じていました。今、全くお互いを知らない3人の人間が
メールを通じて、共通の感動を分かち合えている。あるのは一つの事実。大石剛君という
筋ジストロフィーという難病と闘っている青年が詩を書き、その詩を見た北九州のプロの
ミュージシャン渡辺知子さんが曲をつけ、あの「きのう、きょう、あした」が出来た。そして、
佐伯淳子さんという、記者の方がそのことを知り、もっと多くの人に知って欲しいという気持ちから
今回のKISという、インターネットの放送局の話題の1つとして取り上げた。

 (そうなんだ、この一つの事実から大きな感動の輪が生まれようとしてるのだ・・・・
  他の多くのメーリングリストのメンバー達はどうなんだろう? いずれにしても、もっと
  情報が欲しい・・・渡辺知子さんにも会ってみたいし・・・)

その時、正彦の脳裏にひらめいたものがありました。

 (そうだ、ぼんカバチョのインタビューだ。これを、リクエストしてみよう・・・)