スターブレイダ―ズ
第４話 結成・五つの星剣
サムライ・ジパング戦から一週間後、スター・キャッスルではホークが電話をしていた。
「そうですか、分かりました……」
ホークは受話器を置くとため息を零した、
「小父さん、どうしたんだ？」
そこへシンジがやってきた。スター・ブレイドの手入れをしていたのだった。
「シンジ君、困った事になったぞ」
「えっ？」
それは修理に出したスター・ブレイド０２と０５なのだが、修理はできるがそれ以上のカスタマイズができないと言うのだ。
「別にやる必要はないだろ」
「そうも行かない！」
いきなりホークは大声を立て、シンジは両肩がビクついた。
「すまん、興奮しすぎた。だが前回のサムライ・ジパングの…… ナガミツだったな」
ホークはナガミツをモニターに映し出した。
「これは攻撃重視のナイトに余計な武装を外す事により機体を軽くし、エンジンを複数つける事で高速重視に作り変えると言う工夫がなされている」
ホークの話ではスター・ブレイドは旧型だが十分に試合で活躍できる、しかしナイトの性能は日に日に進歩して来ており、こちらも何らかの対策を練る必要があると言うのだ。
「ただでさえウチは惨敗続きでまだ赤字が続いている、それに武器弾薬にも金がかかる」
「そうだよな……」
シンジは舌打ちをする、するとある事を思い出した。
「そういやナイト・クルーの募集はどうなったんだ？」
「……それもさっぱりだ。この調子じゃとてもじゃ無いがクラスチェンジ・バトルには間に合わん」
ホークとシンジはそれ以上口を開く事は無かった。
一方、ここは月にある唯一の大学コスモ・アカデミー、ここのキャンパスのベンチで２人の少女が腰を下ろしていた。
キャンパス中央には宝石のような飛沫を上げた噴水が設置され、周囲には色取り取りの花が咲き乱れている。また天上の青空は３Ｄビジョンの作り物だが時間や季節によって景色や空調も変えられ地球にいる時とほぼ同じ環境に設定されている。
少女のうち１人はレナ、
もう１人は白い襟に真紅のワンピースを着て皮のブーツを履いた黒い瞳に黒髪のツインテールの美少女、レナの大親友のシーラ・スクレイアだった。中学１年の頃に偶然席が隣りになったのがきっかけで知り合い、中・高・大と一緒に過ごして来たのだった。
「今度のクラスチェンジ・バトルに出る事になったのよ、勝てばブロンズ・ランクになれるのよ」
「すごいですレナ様、私も応援してますわ。もちろんシンジ様もですけど」
無論シーラはシンジの事を知っていた。
レナから耳にタコが出来るくらいに話を聞かされてどう言う人物なのか興味を持ち紹介してもらったのだった。
それ以来シンジとも仲良くなり同じ高校に進学したのだった。
「シンジ様も立ち直って良かったです」
するとレナは苦笑交じりにため息を零した。
「時間が掛かりすぎなのよ、何せあいつガキだから……」
「……それを言うならレナ様も」
「何か言った？」
「い、いえ、別に……」
レナが目を細めるとシーラは手を振った。
「でも本当に良かったです。シンジ様を助けられなかった事、まだ私は後悔してますから……」
２年前のハヤト・ゴウの事故、シンジが学校に登校するとクラスメートや今まで仲の良かった友達も手の平を返したように冷たくなり、シンジは後ろめたい目で見られてきた。
まして自分を守るべき教師からもからかわれて笑い物にされ、追われるように学校を去ったのだった。
当時シーラは学校から去って行くその後ろ姿をずっと見ている事しか出来なかった。
「……その事は今でも後悔しています、私はお友達のはずでしたのに」
「あいつは気にしてなかったみたいよ、大丈夫、そんなにやわじゃないから」
「レナ様は何も分かってません、シンジ様はあれでも物凄く傷つきやすい人なんですよ」
シーラは真剣な顔つきだった。
「今更ですけど、私はシンジさんの力になりたいです、どんな小さい事でも……」
シーラは両手を握り締めた。その姿にレナは何も言えなくなった。
学校が終わりレナはスター・キャッスルにやって来たレナはシンジ達から修理に時間が掛かると言う事を聞かされた。
「そう、困ったわね……」
「ったく、スポンサーももう少しオレ等を信用しろってんだ」
シンジはスター・ブレイダーズを見限ったスポンサー達に野次を飛ばす。
「嘆いたってしかたがない、資金の方は何とかする、君達はしばらく自由にしてていい」
「わーった」
シンジ達は頷いた。
スター・キャッスルを出て廊下を歩く３人と１体、するとチサトが立ち止まった。
「ごめんなさい……」
「あっ？」
シンジとレナは振り返る。
「だって、私の機体が一番迷惑かけちゃったから……」
「そんな事ないよ、相手が悪すぎただけよ！」
「でも、一番お金掛かるの私だし……」
チサトはふさぎ込んでしまった、プロメテスもチサトを励ますが効果は無い。
するとシンジは何かを思いついたように手を叩いた。
「考えたってしかたねぇ、これから遊びに行こうぜ！」
「えっ？」
チサトは顔を上げる、
「アンタね、自分のナイトが無事なんだから少しは練習した方が……」
「あら、どうしたの？」
するとそこにビアンカが現れた。
「あ、ビアンカさん丁度いいところに、これからみんなで遊びに行きましょうよ！」
「えっ？」
ビアンカは眉を細めて首をかしげた。
「馬鹿シンジ！ もうこんな時間でしょう！ 遊びに行く所なんてないわよ！」
「まぁまぁレナちゃん、遊びに行くのは私も賛成よ、休める時は休まないと……」
「そんな訳だ。チサト、お前どこか行きたいトコとかあるか？」
「えっ、あ、だったら……」
チサトは３人の顔を見合わせて言った。