スターブレイダ―ズ
試合終了後、武蔵に戻ったタケシは通信をスター・キャッスルに向けていた。
『はっはっはっ! さすがはスター・ブレイダーズ、このタケシ感服いたしましたぞ!』
「は、はあ……」
敗北したにも関わらずタケシは大いに笑っていた。
こうなると勝ち負けを気にしていた自分達の方が負けている気分になった。
『とにかく、今回はいい勉強になったでござる。これで準備がはかどるでござるよ。』
「準備?」
『何を言っておられるか? クラスチェンジ・バトルでござるよ』
クラスチェンジ・バトル、
それは年に一度同じランクのチーム全てが集まって次のランクへ昇格する為のキップを手にする大会なのである。
別に大会に出場しなくても次のランクには進めるがそれは公式戦を20勝しなければならない。
「あ、もうそんな季節か……」
ホークが顎に手を当てる。
『無論そなた等も出場するのであろう?』
「ん、ああ…… どうしようかな? まだ2人欠けてるし……」
『ハハハッ、またまた謙遜を……、そなたとなら面白い勝負ができそうでござるよ』
『タケシ様、そろそろ遅れます。』
するとタケシの後ろに控えていたオペレーターのミワコが現れた。
『ん、ああ、もうそんな時間か…… 急がねば学び舎に間に合わぬ』
「えっ、ちょっと待て、学び舎?」
『ああ、拙者は学生でござるから』
「なにぃぃぃっ?」
タケシに正式な年齢を聞くとシンジとレナより2つ年下なのだと言う、
それを聞くとシンジ達は開いた口が塞がらなかった。ナガミツの大きさよりこっちの方が驚いた。
『賞金の方は後日講座に振り込んでおくでござる、では拙者はこれで、また2月後に!』
通信はそこで切れると大和は去って行った。
「シンジ君、これからどうするんだい?」
「どうするって?」
「決まってるでしょう、クラスチェンジ・バトルの事よ!」
「お兄ちゃん出るの?」
「あ、そうか…… どうしよう」
シンジは今回の事で学んだ事があった。
それはたった一度や二度勝ったくらいで調子に乗ると痛い目を見るという事を……
「スチール最強であれだからな、ブロンズにはもっと強いのがいるって事か……」
タケシより強い者はまだまだいる、それを聞いただけでシンジは肩が震えた。無論それは恐怖でもあるのだが今回はそれだけでは無い、むしろ嬉しいと言う気持ちもあった。
経験が少ないシンジ達にとって全てのナイト・クルーが強敵だろう、しかし今回、完全な実力差を持つ敵と出会い恐怖は覚えたがそれと同時に心の底から込み上げてくる物があった。言葉では言い表せないがとても熱くて楽しくてワクワクした物だった。
「出ようぜ!」
シンジは一呼吸置くと皆に言った。
「シンジ、アンタまた……」
また有頂天になっていたのかと思ったがレナは言葉を引っ込めた。
シンジの輝かんばかりの目は中途半端でも何でもない本気の目だった。
「……そうね、まぁいいか」
「うん、今度こそ私も頑張る!
2人の瞳にも強い意思の籠もった光が輝いた。それを見たホークは軽く頷いた。
「決まりだな、次回のクラスチェンジ・バトルに優勝すれば一気にブロンズ、だが我々が目指すのはあくまでもプラチナだ。いいな?」
「了解!」
大いに盛り上がる4人、
それを見ていたビアンカは何かを思い出した。辛く苦しいけども楽しい、困難に立ち向かう覚悟と勇気と言う物を……