抜き打ちゲーム(4/10編集)
「……そんな目で催促されてもな。話が繋がらないと言うんだろう? だが、そこが俺もよくわからないんだ」
気が付いたら列車が減速していて、クロードは荷物を背負ってドアの前まで歩いて、ごく普通に列車から降りていた。あの彼女が黒幕だったんだろう、おそらく。
「……正体? そんなもの判るわけがないだろう」
……ひょっとしたらローレライ(岩の妖精、あるいはセイレーンの一種とされる。美しい声で男を誘惑し、破滅へと導く)だったのかもしれない。妙に川のあたりのことに詳しかったし、声が綺麗だったから。
「……なあ、それでも、兄さんは彼女と同伴したかったか?」
作品名:抜き打ちゲーム(4/10編集) 作家名:狂言巡