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舞うが如く 第四章 7~9

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舞うが如く 第四章
(7)男の散り際


 翌朝早く、琴と明里、沖田と山南は、
それぞれ別々に宿を発ちました。


 別れを惜しむ暇乞いを持つこともなく、
琴と明里は、まだうす暗いうちに宿を出発しました。
本日は壬生の屯所にもどるのみにて、
処分は明日で有ろうと沖田が琴に伝えました。
屯所にて夕刻の再会もあろうと、
別れさせました。

 
 しかしそれとは裏腹に、「即刻の処分がくだるであろう」
と断固と言い切る沖田の言葉に、琴には返す言葉がありません。
新撰組の局長として、最後に臨む山南の心を乱すことなく
覚悟のままに見送りたいものだと、沖田が言葉を重ねました。
おなごならわかるであろうと、再びクギをさしてしまいます。
明里とともに夕刻まで、できうるかぎり屯所を避けて、
共に過ごせと厳命されてしまいました。



 山南と沖田のふたりが
壬生の屯所・前川邸に戻ったのはまだ昼前のことです。
山南の帰還を聞きつけた伊藤が、
永倉とともに面会に駆けつけてきました。
役目を終えた沖田は、伊藤と永倉を残してひとときの中座をします。
悄然と座る山南を見降ろして、伊藤がささやきました。


 「山南殿、
 今後のことは我々が承知いたすが故に、
 今一度、ここを脱走されたらいかがでござる。
 お助け申す」


 「ご芳志はかたじけないが
 事ここにいたりましては、
 もう、とても脱走しきれないと存じます。
 すでに切腹は、覚悟の上にてござる」


 山南が静かに首を左右に振りました。
しかし、その顔面は蒼白です。
覚悟のほどを看取った伊藤が、立ち上がり永倉とともに
座敷を後にしました