2006-2010 詩集Ⅰ『あさ』
18.
その
瞳
ただ
胸奥に
彫り刻む
虹の果てに
思い出を見て
物語は途切れて
美しく散って行く
儚くほどけていく
きらきらと光る
幻のような波
また夢の中
空を掴む
みぎて
刹那
声
開く
夢の夢
からくり
天使の微笑
やがて滲んで
蒼の上に融ける
気が遠のくほどに
果てしなく呼んだ
仮初のあなたの
懐かしき名前
そして輝く
絶望の青
消えて
浮く
泡
憂く
この世
この世界
カモメの声
呼び戻す叫び
はるかはるかに
響いては掻き消え
歪んでは掻き消え
振り返らないで
繰り返す潮騒
いつかの雨
永遠の海
溶けて
弾け
又
明日
ここへ
かならず
還ってくる
そう嘘を吐く
目が醒めて幻夢
目を閉じれば現実
遠くて近い蜃気楼
眩しいのは太陽
淋しいのは白
時はめぐり
時に戻り
始まる
終焉
と
未来
『March 02, 2008 -- 波』
作品名:2006-2010 詩集Ⅰ『あさ』 作家名:篠宮あさと