2006-2010 詩集Ⅰ『あさ』
15.
青空を仰いで
明日を望んだ日は過去
からり、
淡い泡のように浮かぶ
あくびの呼び覚ました悪夢
諦めに似た 新しい微笑
青水無月の紫陽花 雨に濡れて
振り返る
アスファルトに響く足音
畦道を登る足跡
茜さす日の光 色あせる
「また明日ね」
まるで合言葉のように繰り返した
曖昧で愛らしくて
酔うように心地良い まるで浅草オペラ
嗚呼 この時が終われば良いのに
アクリルの絵の具で繋いだ あなたの記憶
届かない宛名
私の望んだ一瞬の愛の証
アフターダーク
明け暮れる朝と朝の間
アシンメトリー
預けられた浅ましい青と赤
はじまりとおわり
徒言は そして宙に溶けた
『November 22, 2007 -- はじまりのうた』
作品名:2006-2010 詩集Ⅰ『あさ』 作家名:篠宮あさと