2006-2010 詩集Ⅰ『あさ』
13.
寝ては醒め 起きては眠り
続かぬようで途切れない灰色の鎖
朝から晩まで絶え間なく
自身を支配する悪あがき
けれど折角買った新しいノートの
第一頁に その言葉を書くのは嫌で
この使い古したものを
中途半端に大切にしながら生きてきた
いつ気付いたんだろう
自分は思うほど人間ではないと
それなのに時計の針ばかり回るから
立ち止まっていても辿り着けるのだとばかり思っていた
願っていた
変わることと変わらぬこと
願っていた
鏡の中の人間と同じ存在だと
だけど『それ』を知った後も
黒く塗り潰すことも、白に戻すことも出来ないでいる
だって
だからこそ
この使い古したものを
今まで以上に大切にしながら生きていく
『July 28, 2009 -- インクブルーの体』
作品名:2006-2010 詩集Ⅰ『あさ』 作家名:篠宮あさと