別れの殺意
忘年会
忘年会の二次会は達也の行き付けのスナックであった。
同じ営業課の7人が集まった。
家電製品ももこのところ売れ行きが落ち込んでいた。
大型店の進出で中堅の電気店は四苦八苦であった。
達也の勤務するマルホ電機は、官庁や学校などに売り込んでいた。
大型店がまだ進出していないのだ。
以前は小売りに専念していたが売り上げが落ち込んでいたのである。
景気がいまいちでも忘年会は行われ、ボーナスも出た。
達也は課長であった。
「ここの勘定は見るから好きにやってくれ」
妻に怒られると解ってはいたが、やせ我慢であった。
「課長、ごちそうさま」
達也の脇には今年入ったばかりの大卒の大家かなえが座った。
「これからも宜しくお願いします」
大家はビールを注いだ。
「返盃」
達也は自分のコップを大家に渡した。
「いだだきます」
「いけるね。もう1杯」
大家は達也の勧めるままに飲んだ。
「課長さんもう駄目」
大家は達也に寄りかかって来た。