俺とみこの日常 4話
「すごいね、そーくん!」
いや、その顔で『そーくん』とか言ってほしくない。
いつもの女の子らしい顔&声ならまだしも、今は俺の、つまり川島蒼大の顔&声だ。『そーくん』とか言われてもうれしくない。
「あっ」
「どうしたの、そーくん?」
「あ、い、いや、なんでもない」
読心術は使えない、と。
ってことは、もしかしたら今、俺が読心術使えるんじゃ…。いや、でも使い方がわからないな。…とりあえず集中してみっか。
「?、そーくん?」
集中、集中。
「あ、読心術だったら、あたし今は使えないよ?」
「知ってる」
「あ、もしかして使おうとしてた?」
勘がいいなぁ。
「………別にいいだろ、使っても」
「いや、いいよ?でも、使い方知らないでしょ?」
まさか教えてくれるとか…?
「…おう」
すると、
「こう、相手と普通に話してて、相手の考えてることが頭に入ってこないとダメ」
「…無理だ。俺には素質が無いのか?」
俺が無理だった事を伝えると、みこが少し悲しい顔をした。
っていうか…みこ(&俺)には悪いが…、
「お前の喋り方……!」
笑えてくる。俺の顔&声で、『あたし』とか。
「そーいうそーくんだって!あたしの顔と声で俺、とか言わないでよ!」
あ、これきりが無いぞ。
「よし、わかった。こうしよう。俺は今からみこの喋り方にする。だから…」
「あたしはそーくんの喋り方に…」
「うん、そういう事」
作品名:俺とみこの日常 4話 作家名:ざぶ