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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「夢の続き」 第九章 由美の再婚

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「解ったよ。ものすごく期待してない?ひょっとして」
「してる」
「参ったな」
「どうして?」
「ドキドキしてきたから」
「貴史の思うとおりでいいのよ」
「前もそう言ったよ。本当はどうなの?」
「本当は?ってどういう事」
「どうって・・・つまり・・・いいよ、もう」
「怒ったの?」
「違うよ。なるようにしかならないって決めた」
「ねえ?お母さん貴史になんて言ったの?あの時」
「覚えてないよ、そんなこと」
「寄り添っていたじゃない。怒っているんじゃないのよ、お母さんどうしたのかなって考えたから」
「いつかお母さんになる人だから大切にしたいって言ったような気がする」
「そうだったの・・・私って知らずに嫉妬したのね、母に。ゴメンなさい、最低ね」
「洋子のことは誰よりも好きだよ。洋子を幸せにすることがおばさんを幸せにすることなんだって思っているよ」
「ありがとう。私は何も不満は言わない。好きで居られることと傍に居てくれることだけでいいの。だからあなたの好きで
構わない・・・抱いて」
「ああ、洋子・・・」

一人寝室で寝ようとしていた由美はふと洋子と貴史のことを考えてしまった。
今頃二人は・・・そう思うと嬉しいやら、気になるやら、羨ましいやら、眠れない気分になってしまった。夫を亡くしてもう5年が過ぎた。
あっという間のことに感じていた。気がついたら、娘は18になって彼と仲良くしている現実を見せ付けられている。
もう自分が女として幸せを手にしても構わないと修司との交際に心ときめくことが自然な欲求となっていた。世間の視線ももう誰も
不謹慎とは言わないだろう。それだけ子育ても頑張ってきた。子供の頃から仲良くしてきた貴史が洋子の夫になるであろう日も遠くない。
「あなた許してください。第二の人生を楽しませていただきます」そっと仏壇の夫にそう呟いた。

日曜日に4人で出かけたディズニーランドの帰り、修司は正式に由美にプロポーズした。
「まだ知り合って日が浅いけど、僕の気持ちは初めからずっとあなたのことが好きでした。僕は何の取り得もない男だけど、恭子の
父親として恥ずかしくない人生を送ってきた。洋子さんのいい父親になるから、恭子のいい母親になって頂けませんか?」
「修司さん、恥ずかしいぐらいにあなたのことが好きです。あなたの亡くなられた奥様には敵いませんが、4人で仲良く暮らしって行きたいと
願っています。不束者ですが宜しくお願いします」
「何を言っているんだ、僕の方こそあなたのご主人になんか敵いませんから」
「お母さん!おめでとう」
「お父さん!おめでとう」
洋子と恭子は拍手した。子供に祝福されてもう二人とも涙を堪えることが出来なかった。

「ねえ?お父さん、私お姉ちゃんのお家に先に行って待っているから、お母さんと二人で楽しんで来て。ゆっくりでいいからお迎えはね」
「恭子!なにませた事言っているんだ。ご迷惑だろう」
「おじさん、じゃなかった、お父さん!そうして下さい。母をよろしくお願いします」
「洋子・・・恥ずかしくなるじゃない、そんな風に言ったら」
「お母さんの気持ちは洋子全部解るのよ。我慢しないで・・・ゆっくり話したいこともあるんでしょ?」
「じゃあ、先に行くから」恭子と洋子は席を立って、手を繋いで出て行った。

「あの二人、仲がよくなったなあ。本当の姉妹のように見える」修司は目を細めて見送っていた。
「そうね、洋子もずっと一人だったから、嬉しいのでしょうね。それにしても恭子さん気を利かせてくれたわね」
「女の子だなあって、最近思えるんだよ。そのうち彼なんか連れてきたら、どうしよう?」
「まあ、先の心配されているのね。ハハハ・・・取られちゃうって感じるわよ、お気の毒ね」
「おいおい、そんな言い方しないでよ。洋子さんの時はどうだったんだい?」
「何が?貴史さんとの事?」
「そうだよ。取られるって気にならなかった?」
「全然思わなかったよ。むしろそうなって欲しかったら二人で旅行に行くって言った時に妊娠しないようにお守り渡したもの」
「お守り?」
「そう、避妊の・・・」
「そういうことか、理解ある母親だったんだね。僕には恭子に渡すことは無理だなあ」
「そうよね、男性だものね。私が渡しますから心配なさらないで」
「喜んでいいのかどうか、複雑な気持ちだよ」
「親子ですもの、娘の身体のことは母親が一番解るの。気遣いもしてあげないといけないってずっと思っていたから」
「恭子も安心するな。洋子さんもいるし」
「そうよ、経験者だもの」
「ふ〜、なるほど」

修司は再婚同士だから式は挙げずに入籍だけ済ませて、自分の家に来て欲しいと由美に話した。