舞うが如く 第2章 13~14
「となれば、
戦わずして負けたということになるかのう。
琴よ、剣で競うばかりが
婿選びの方法ではあるまい。
気に入ったのであれば、他の方法もあると思うのだが。
いっそのこと、
おなごに舞い戻ったらどうだ」
「あ・・・兄上。」
「そうか、沖田に惚れたか・・・
お前が頬を、赤く染めるのも始めて見た。
これは良い旅の土産話ができた、
お前を浪士隊に連れてきた甲斐も有るというものだ。
なるほど、なるほど。」
本庄宿での芹沢鴨の大かがり火事件や、
山南敬介が幕府の目付役と喧嘩をするなどの小競り合いがあったものの
中山道を旅した浪士隊は、2月23日に無事に京都へと到着しました。
一行は洛外の壬生村に入り、
新徳寺、地蔵寺、更祥寺の寺院をはじめ、豪農宅などに分宿します。
近藤と試衛館の四天王、良之助と琴は、
芹沢鴨の元水戸藩一派と共に
壬生の郷土・八木玄之丈の屋敷にとはいりました。
その同日の夜のことです。
別行動をとっていた清河八郎が、にわかに現れ、
新徳寺の本堂に、浪士組の全員を集めました
第二章・完
作品名:舞うが如く 第2章 13~14 作家名:落合順平