小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

舞うが如く 第1章 13~15

INDEX|1ページ/5ページ|

次のページ
 
舞うが如く 第一章
(13)房吉騒動・その1


 高弟の二人、
箱田の与吉と南室の寿吉が
ともに房吉の身を案じます。

「和議に応じたければ、単身にてと記してある。
策略かもしれないが、
力に頼って無理やりにというわけにもいくまい。
案ずることはないだろう、
庄屋の仲裁でもあることだし・・」

 しかし房吉はそれ以上を語りません。
もしもの時は、法神流と妻を頼むというだけで、
門弟たちと静かに盃を傾けます
夜は深々と、さらに更けます。
 
 その翌朝、庄屋の倅が
房吉を訪ねてまいりました。

 房吉は小刀だけを腰に帯びて、
わずかに与吉と寿吉の二人を連れて発とうとします。
庭に並んだ門弟たちが、卑怯なる伊乃吉一派のことゆえ
われらも是非にと勢い立ちます

 「大勢で押し掛けて
斬りあいともなれば、示しがつかなくなるゆえ、
ここは、わしとこの両名だけで話を付けてまいろうと思う。
案ずることなかれ、
庄屋が仲裁に名乗りを上げておるゆえ、
安心して待つがよい。」

 そう言い残すと、園原村へと出発します。

 到着した庄屋宅で小休止することになり、
倅と庄屋が一足先に、仲裁役として伊乃吉の道場を訪ねました。
ところが、話はまったく要領を得ません
とにかく房吉が直々に来なければ刀は返さないと、
高飛車の対応に終始する有様でした。

 戻って事情を説明すると、房吉も腹をくくります。
これから先は我らだけの事と覚悟を決めて、庄屋と倅に礼を述べてから
与吉と寿吉の2人を伴って、伊乃吉の道場へと出むきます。



 道場の玄関先から声をかけると、
中からは数人の門弟とともに、
喧嘩支度を整えた伊乃吉と、
師匠の山崎孫七郎が出てきました。

 刀を返してもらいに来ただけで、
試合ならば、竹刀にて承ると切り出せば、

 「真剣にての勝負以外に望みはない。
覚悟を決めて立ち会うがよい、
もはや問答無用。」といい放ちます。

 伊乃吉、師匠ともに太刀を抜き放ち、
「者どもかかれ」と、大号令を発します。
こころえたとばかり脇から、奥から、
多くの門弟たちが湧き出してきました。