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舞うが如く 第1章 8~12

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舞うが如く 第一章
(8)残る火種

 夜討騒ぎを聴きつけて、
呉服商の手島源兵衛が駆けつけきました。

「相手は何者かはしれませんが、
死人も含めて多数の怪我人が出たとなれば、
このまま、無事には済まないと思われます。
後は私どもが、いかようにもいたしますので、
ここはひとまず、
身を隠すことをおすすめします。」

 「いやいや、
当方にも怨みをかうほどの、非がありました。
成り行きとはいえ、多勢に
手傷を負わせあげく死人まで出たとなれば、
とてもこのままにはしておけません。
明朝、奉行所に出向こうと思います。」


 「なりません。
もとはといえば、
数にものをいわせた卑怯な闇打ちです。
なれども、町方同士たちの喧嘩に変わりはありません。
ましてはご法度ともなる、街中での白刃三昧です。
どんな裁定になるのか、けして油断はできません。
やはり、ひとまずは
故郷に身を潜めていただいてはいかがです」