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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第十回・弐】おふくろさんよ

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「ほら!! おとなしくするっちゃッ!!」
「ギャー!!; お前!一気にかけんな!!; しみるしみる!!;」
京助の足に消毒液 (マキロン)を思い切りかけた緊那羅に京助が喚いた
「男ならコレくらい我慢しろっちゃ」
ガーゼで垂れた消毒液を拭いながら緊那羅が言う
「っおおぉおおお…;」
京助が意味のよくわからない手の動きをして痛さを訴える
「おもしろいんだやな」
コマがその様子を見て言う
「コレで主の羽根が生えたまんまだったらもっと笑えたかもなんだやな」
イヌも言う
「お前等…人事だと思ってぇおぉう!!;」
むすっとした顔で二匹に言っていた京助がまた声を上げた
「ハイ! 終わりだっちゃ」
緊那羅が余った包帯をクルクルと巻いて救急箱にしまった
「乾闥婆の手当ての方が優しかったぞ;」
包帯の巻かれた足を見て京助が言う
「ハイハイ」
緊那羅が言いながら救急箱を持って立ちあがった
「…お前段々母さんに似てきてねぇか?;」
京助が緊那羅を見上げて言うと緊那羅がきょとんとした顔で京助を見返した
「ソレはゼンゴも思ってたんだやな」
コマが言う
「だよな?」
京助がコマとイヌに向かって指を指した
「そんなことはないと思うっちゃけど…うーん…」
緊那羅が救急箱を抱えたまま考え込む
「行動がおばさん臭くなってきたというか…」
「誰がおばさん?」
「母さん…」

ペンッ!!

「ハルミママさん…;」
緊那羅の目線の先には洗濯物が山になっているカゴを小脇に抱えたまま京助の頭を今まさに叩きましたな母ハルミ
「全く失礼な…」
ブツブツ言いながら母ハルミが京助を横切って和室に入っていった
「地獄耳…;」
京助が頭をさすりながらまたボソっと言う
「何か言った!?」
和室から母ハルミが叫んだ

緊那羅がコッチに帰ってきたのは昨日
今日は日曜日で外ではコレでもかというくらい雪がもっさりと降り続いている
「今日買い物いけないっちゃから…カレーでいいちゃね」
窓の外を見て緊那羅が言う
「僕カレー好きー!!」
慧喜とトランプをしていた悠助が緊那羅の言葉に万歳をして言った
「うずら入れてね」
悠助が目をキラキラさせて緊那羅に言う
「たしか水煮の缶詰があった…っちゃから」
緊那羅がにっこり笑った
「僕も手伝う~」
「悠助が手伝うなら俺も」
悠助が立ち上がると慧喜がトランプをまとめはじめる
「ありがとだっちゃ」
悠助の頭を緊那羅が撫でると慧喜がジト目で緊那羅を見、ソレに気づいた緊那羅がパッと手を離した