アイラブ桐生 第三章
真赤な口紅に、まっ黒けのサングラス・・
派手なアロハシャツに着替え終わって、短い髪をさらりと掻きあげる
すましたレイコが、そこにいました。
悠然ととたばこに火をつけてから・・
フ~と、ゆっくりと煙を天井に向かって噴きだしました。
意味ありそうに右手の指を一本だけ立て、強調するように私の目の前にかざしてから、
真っ赤な唇に向かってそ~と押し当てる仕草を見せました。
そういえば、昨日の口紅はピンクでした。
サングラスを、少しだけ下にひきおろして、長いまつげを見せたレイコが
ゆっくりと、悩殺ポーズのウインクを見せました。
「準備は万端。
ここから、これからが、この旅の佳境です。
ねぇ、私の言っていることの意味、あなたはちゃんとわかってる?
爆睡してたんだのもの、覚えているはずはないわよね。
この口紅を使うのは、これで二度目なのよ。
二度目は、たった今使ったわ。
一度目は、昨夜。
あなたのための、使ったの。
あなたのために、初めてのルージュを塗ったのに・・・
寝ちゃうんだもの。
まぁ、其れも仕方ないか、
まだ時間もたっぷりと残っていることだし、
未来の花嫁さんを乗せて・・・
さあ行こうぜ、
二人を待ってる金沢へ!。」
アイラブ・桐生
第三章、その3・(完)
作品名:アイラブ桐生 第三章 作家名:落合順平