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謎解きはライブのまえで

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<町村信孝語録>
★ダブルスタンダード
民主党の小林千代美衆議院議員陣営に北教組が選挙資金を違法に提供したとされる事件について
→「日教組本部も驚くような団体だ。研修資料に『竹島は韓国の領土だという、韓国の主張が正しいと教えましょう』と書いている。これが日本の北海道の先生だ」
米国政府機関が竹島の帰属先を再度「韓国」に戻したことについて
→「米政府の1機関がやることに、あまり過度に反応することはない。福田首相が抗議を行う可能性についてはない。なぜ必要なのか」

●同類
2009年(平成21年)3月19日に民主党代表・小沢一郎が提議した「企業・団体からの献金全面禁止」について
→「まさに盗っ人猛々しい話だ。小沢氏の目くらまし発言に乗せられないようにしてほしい」
<町村信孝が受けた政治献金>
・日本歯科医師連盟
・北海道ガス(札幌市出資)←地方公共団体から補助金を受けている企業から政治家への献金は、政治資金規正法で制限されている。
・鋼鉄製橋梁工事をめぐる談合事件に関与した談合組織に所属する企業から
・2001年7月23日に江別市内の不動産を1,000万円で取得したが、同じく「信友会」が2008年3月19日に提出した政治資金収支報告書で、その年度中に608万円で当該不動産を売却←町村が代表者を務める政治団体「信友会」の政治資金収支報告書(2007年3月19日提出分)

■恫喝
2009年(平成21年)9月21日、札幌市内で行われた自民党総裁選の演説会終了直後、握手を求めた河野太郎に対して握手を拒絶し
→「ご苦労さま。しかし、誹謗中傷はいい加減にしろよ。ものには限度があるぞ」

◆オカルトマニア
2007年(平成19年)12月18日に「地球外から飛来してきたと思われる未確認飛行物体(UFO)の存在を確認していない」とする答弁書が閣議決定されたことについて
→「私は個人的にはこういうものは絶対いると思っている。そうじゃないと、ナスカの地上絵、説明できないでしょ」

▲自衛隊は教育機関ではありません。
大学への九月入学を一般化すべきだとして
→「高校卒業後の半年は自衛隊へ入隊させて奉仕活動するのもいい」

▼最大限の被害を受けているのはあなたの頭の中身です。
米軍ヘリ墜落が墜落した沖縄県宜野湾市の沖縄国際大学を視察中に
→「操縦技術が上手だったため、最小限の被害でとどまったのかもしれない」

※お前こそ仕事しろ。
2009年(平成21年)7月2日、民主党との政策討論会で、郵政民営化がサービスの低下を招いたとの指摘があることについて
→「一部の悪質な労働組合の人たちが国営に戻したい一心でわざと仕事をさぼっていると聞いたことがある」

<トキハ本店屋上>
 完成した駅南複合文化施設のこけら落としとしてライブを行う予定の浜田省吾は、リハーサルを終えるとカメラマンを連れて新築の駅ビルを上野の森口から府内中央口へと通り抜け、北の繁華街へと足を向けた。大分公演を記念して、トキハ百貨店の屋上で記念撮影をする予定だ。
 屋上から南を望めば、高さ90メートルの九州で2番目に大きい駅ビルを捉えることが出来る。屋上に佇みギターを引きながら歌う浜省のバックに屹立する駅を撮影して発売予定のライブDVDに収録するつもりだった。
 大分駅前の国道10号線を横断し、中央通りを北進すると、トキハ本館からスクランブル交差点を挟んだ対面にある大分フォーラス横で、自民党の街宣車がアーケードの中央に陣取っていたのが見えた。自民党福岡県連から借りてきたと思わしき福岡ナンバーのマイクロバスからは、「自民党衆議院議員 町村信孝」「軍事評論家 田母神俊雄」と書かれた垂れ幕が下がっていたのを浜省は見た。
 自民党の参議院議員が事故死したので、補欠選挙を行うことになったらしい。
 どうやら自民党最右翼の反中派で歴史修正主義者の町村と、偏った歴史観を持っていると石破茂に苦言された田母神の両者が街頭で自民党候補の応援演説をするようだ。団塊の世代で左翼思想にかぶれている歌詞を書いた実績がある浜省は、チラシを手渡ししてくる自民党職員らしき男を無視して、横断歩道を渡りトキハの正面玄関をくぐった。
 トキハ社員を伴ったカメラマンは、小型HDカメラを構えて、浜省とともにエレベーターに乗り込み、ビアガーデンとなっている屋上に向かって上昇していった。カメラはプラスチックのチェアーに座りながらギターで浜省が「A NEW STYLE WAR」を歌う様子を撮影する。かなり昔に作られた曲だが、そこに書かれた詞の内容は今だに通用するところに人類の進化の停滞を感じさせると浜省は思った。
 自民党政権から民主党政権に交代しても、さほど何も変わらなかったのは、民主党の実務能力の欠如と言うミクロの事象よりも、人類の進化・進歩が停滞しているというマクロの事象そのものに起因しているからではないかと考えた。
 社員が屋上への扉を開け、浜省が屋上に踏み込むと、真夏の強い日差しが降り注いできたので、オークレイのサングラスをかけた。
 刹那、町村信孝の演説がスピーカー越しに聞こえてきた。民主党政権時代の子ども手当てと高校無償化を強い口調で批判していた。高校無償化によって、経済的理由で高校を退学する生徒が大幅に激減し、格差が多少足りとも改善したのは民主党の手柄であろう。なのに、自民党が与党時代に格差社会を生み出したことにまったく反省していない内容の演説を浜省は不快に思いながら口を開いた。「自民党の演説があるようですね」
「町村さんも田母神さんも昨日ここにビールを飲みに来たようですよ」とトキハ社員は笑って言った。「特に田母神さんは浜田さんのファンらしいですよ」
 つられて笑った浜省が、声の主に屋上からヤジでも飛ばしてやろうかとアーケードのある西へと目を向けると、誰かが隅に片膝をついて座り込んでいた。迷彩服を着こむ彼は細長い筒のようなものを肩に構えていた。
「あれは誰ですか?」と浜省は社員を屋上に引き入れると訊いた。
「誰でしょう?」と社員は訊き返した。「ソニーミュージックの関係者じゃないんですか?」
「迷彩服を着た社員は生憎知りません」とカメラマンは笑って答えた。「ロケット砲を打つアフリカの民兵みたいに見えますね」
「あはは、しかしここは日本ですからねえ」と社員はカメラマンの言を冗談だと決めつけて言った。「不法侵入者のようですから、ちょっと注意してきます」
 社員は民兵みたいな男の真後ろに近づいた。浜省も好奇心から、社員の後ろについて行き民兵の男の横に立った。カメラマンも一歩引いて浜省に追随した。
「何をやっているんですか?」と社員が声をかけた時、男が肩に担いだ筒の両端から火を噴くのを浜省とカメラマンは見た。筒の後ろから吹いた火が社員の頭に直撃し、社員は風圧で後ろに飛ばされてコンクリートの床に叩きつけられた。浜省は男の横にいたので火が直撃しなかったものの、風圧で後ろに倒れこんだ。
 筒の前のはるか先には自民党の街宣車があり、社員が吹き飛ばされたと同時に、街宣車は町村ごと爆発し火を吹いた。町村の演説を聞いていた自民党支持者の集団も爆風を受けて吹き飛ばされた。
作品名:謎解きはライブのまえで 作家名:牧高城