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アイラブ桐生 第一章

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アイ・ラブ桐生 第一部
(4) 第一章 学生たちの喫茶店(前)



 今日は、学生たちがよく集まる
もと「純喫茶」だったお店から、その物語が始まります。
総人口が10万人弱という地方都市の割には、
桐生は学生と高校生の多い町です。
(注)人口は、70年代の数値です。
   ただし現在でも、それほど増えてはいません。

 群馬大学の工学部を筆頭に、
5つの公立高校と、2つの有名市立高校が
ぐるりと山に取り囲まれた、(狭い)旧市内でひしめいています。

 市街地の西北部で、
繁華街をすこし外れた通りに、地下、1,2階ともに、
20~30人は入れるという大きなフロアーを持った喫茶店がありました。
ここは今も昔も、学生たちの溜まり場です。


 地元の絹織物産業で、
図案士になるという夢が閉ざされ、
挫折した私が、それならばということで、
ようやく板前修行に通い始めたばかりのときでした。

 高品質で知られ、
隆盛を極めてきた桐生市の繊維産業が、
海外から輸入された安い絹製品に市場を席捲され、
ついに窮地をむかえはじめました。
さらに長引く不況の波にも襲われて、長く続いてきた機織りの歴史が、
その終焉を迎えはじめました。


 どこかに挫折感をひきずったままで、
あまり気乗りのしない、中途半端な板前修業の見習いでした。

作品名:アイラブ桐生 第一章 作家名:落合順平