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アイラブ桐生 序章・はじめに

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アイラブ桐生
(1) 序章・「やんちゃ」時代の想い出




 北関東の山懐にいだかれた
織物の町・桐生市は、
私の青春時代がいまも静かに眠っている町です。


 「西の西陣、東の桐生」と歌われて
絹織物の町としてたいへんに隆盛を極めた歴史を持っています。
といっても、それはもうもう半世紀以上もむかしの話です。

 私にしてみれば、八木節のリズムと機織り機械が作り出す
リズミカルな騒音は、ありきたりといえる日常の音であり、
生活そのものといえるリズムでした。

 そんな桐生で、「やんちゃ」にすごした青春時代について
少しづつ、思い出しながら書いてみたいと思います。


 私が生まれ育った桐生市は、ほぼ三方をきっちりと山に囲まれていました。
東南から西に向かって広がり始めた市街地が、数キロほど伸びきった処で、
日光の手前で、かつては銅山もあった足尾の山系でその源を発した渡良瀬川が、
北西から東へと、すっぱりと断ち切るように流れていました。



 街並みを見ると低い屋並みの瓦屋根が密集していて、
それこそ人一人がやっと歩ける
細い路地がたくさん交差している街、 それが桐生です。




 独特の三角屋根の織物工場が立ち並び、
日本全国からは、若い織子さんたちがたくさん集まってきました。
私のおふくろもその一人で、16歳のときにはもう
一人前の「織姫」として働いていたそうです。


 青春時代の”なりたて”までを
この町で過ごしましたので、「遊び」のデビューも、
この桐生の盛り場でした。