小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

不毛なダイヤモンド

INDEX|4ページ/4ページ|

前のページ
 

相沢くんと私には一つだけ似たところがあった。
それは他でもない、アイアイの名を良しとするその目だ。
正確に言えば、目線。まなざし。
私が相沢くんに向ける目線を、相沢くんは真島に向けていたのだ。
それに気がついたとき、頭を抱えたい気持ちにならなかったかといえばそれは大嘘。どうすりゃいいの、と泣きたい気持ちになったものだった。
でも、私は相沢くんの日だまりのようなまなざしを好きになったのだ。そこだけはどうあっても否定出来ないし、なくならない。
だからこそ、相沢くんにはその気持ちを手放してほしくないのだ。
「真島はバカだよ」
「うん。的を射た意見だと思う」
「でも、相沢くんはもっとバカ」
「はは、鋭い」
「ねぇ、そんなバカを好きな人間って、手の施しようのないバカだと思わない?」
相沢くんは否定も肯定もしなかった。
優しさで出来た笑みをさびしそうに浮かべただけだった。
「バカにはなりたくない?」
意地悪な質問だ。たやすい、という意味ではやさしくはあるけれど。
「もう手遅れ。私は大バカなんですからね」
不毛に輝きを放つ「愛」とやらを、どうやら私もこの先ずっと抱き続けるだろうから。

作品名:不毛なダイヤモンド 作家名:やしろ