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『喧嘩百景』第2話緒方竜VS石田沙織

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 転校初日、竜は薫と一賀に喧嘩を売った――が、面倒を嫌う二人には、全く相手にされなかった。薫の方は総長なんて呼ばれてるくせに、一般人に紛れ込んで、知らぬ存ぜぬを押し通し、一賀の方は喘息持ちだとかで、青い顔で保健室へ逃げ込んだ。近隣校の奴らから話は聞いてきたのだ。龍騎兵はこの辺りじゃあ最強のチームのはずだった。成瀬薫と日栄一賀と不知火羅牙はその龍騎兵の三本柱で、それぞれに「伝説」を持っていた。今もその「伝説」は生きている。それなのに、当のこの学校じゃあ龍騎兵はとっくに昔話になってしまっていた。
 呑気そのものの学校で、竜は済し崩しにお茶会同好会に入会することになったのだった。
 「薫ちゃーん。あたし合格ー?」
 沙織は頭の上で腕を振りながら薫に言った。
 「沙織、ちゃんて言うな、ちゃんて」
 「ええーっ、一賀ちゃんはいいって言ったもーん」
 「一賀と一緒にするなよ」
 遠ざかっていく声とともに、緒方竜の二度目の敗北が決定したのだった。――お前ら、いつかやったる。竜は拳に誓った。