信長、蘇生せよ、この悲観の中に
「へえ信長よ、結構冷静じゃん、それにしても奈美ちゃんの悔し涙、それも気の狂ったような大泣き、初めて拝見させて頂いたよ、セクシーでいい涙だよなあ … まあお二人さんの意見を尊重させてもらって、ヨッシャ! 次の機会とするか、やっぱ我々のプロジェクトも、コンプライアンスが一番大事だからなあ」
高見沢はハズミで、こんなカッコイイことをほざき返してしまった。
しかし、声は涙声。
そして、「コンチキショー!」と叫び、百億円の金塊の前で孤影悄然(こえいしようぜん)。
「そうしましょうよ、高見沢さん、ありがとう」
奈美は反対に大泣きも終わり、気が晴れたのかスカッとした良い顔をしている。
こうして三人は、蛇石の下の軍資金を発見したにもかかわらず、今日のところは持ち帰る事は諦めて、安土城跡を後にするのだった。
作品名:信長、蘇生せよ、この悲観の中に 作家名:鮎風 遊