信長、蘇生せよ、この悲観の中に
それを受けてか、信長は姿勢を正し、万感の思いを込めて自分の意を伝えて来る。
「されど、たとえそれが歴史の原因、そう、そこから現在の悲観相場がいつまでも続いて行くという結果がここにあるとしても、今の日本のそれなりの繁栄を見れば、本能寺の変で、拙者が地下道に埋もれたこと、それはそれなりに意味があり、ひょっとすれば、これで良かったのかも知れないのう」
こうにして遂に織田信長自身の口より、本能寺の変の全貌が明かされた。
そして高見沢も奈美も、「なーるほどね」とより深く頷いた。
全員周知の上での本能寺の変。
それは、戦国の世から日本の民を脱出させるために、神が仕組んだサドンデス・ゲームだったのかも知れない。
高見沢も奈美も、今までのミステリアスな心情を越えて、大きな感動を覚えるのだった。
作品名:信長、蘇生せよ、この悲観の中に 作家名:鮎風 遊