信長、蘇生せよ、この悲観の中に
世の常、時の流れは速いものだ。
あの一念発起の日から、もう一年半余りの歳月が流れた。
多少の苦労はあったものの、二人のプロジェクトは秘密裏に、とんとん拍子に進んで行った。
織田信長株価上昇ファンド。
奈美がそれを市場に打って出て、そこそこのキャッシュを集めた。
そして早速その資金を使い、本能寺跡地三十坪の土地を購入した。
高見沢は計画通りに、その場所の発掘を推し進めて行った。
そして、なんと遂に信長の遺体を掘り当てたのだ。
そこからまず最初に、信長のDNAを含む核を抽出させ、それをマウスの卵子から核を取り除いたものに移植し、クローン胚を作った。
そしてそれを培養して、ES細胞を創生する事に成功した。
それを最近薬局で市販され始めた分化万能性と自己複製能を持つiPS細胞を買って来て、それと融合させた。
そこから培養を繰り返し、また成長促進剤も使って、最終的に信長のクローンを誕生させる事に成功したのだ。
作品名:信長、蘇生せよ、この悲観の中に 作家名:鮎風 遊