信長、蘇生せよ、この悲観の中に
高見沢は、「本能寺の変の現場を散策する東京現代美人、見栄えのする風景だなあ、信長もきっと大喜びのことだろう」と、関西風思考で興味津々に並んで歩いている。
そして奈美は、自分の感情を直接的に表現して来る。
「これってやっぱり感動ね、未明の奇襲を受け、地下道に逃げ、そこからを新たな出発点として国王になり、その上に神になるつもりだった織田信長、その無念さを思うと、本当に私、決心しました、織田信長株価上昇プロジェクトに、パートナーとして参画することにするわ」
奈美は遂にそう言い切った。
そして、すっきりとした表情となっている。
「さすが奈美ちゃん、理解度抜群だね、ありがとう、この時空を超えてのプロジェクト、信長の遺体を発掘し、DNAを抽出する、そしてクローン信長を誕生させて、その持てる情熱とパワーで、日本の改革をもう一度やってもらおうぜ」
これに「ハッピー、ハッピー、レッツゴー!」と、奈美が合いの手を入れて来る。
それにまた高見沢は乗せられて叫び出す。
「日経平均3万円の達成だ、これで塩漬け株も大暴騰、奈美ちゃんには、贅沢三昧の生活が保証されること間違いなしでーす、それに俺の老後も、ぱあっと花が咲く、ワーイワーイ、万々歳!」
高見沢には将来に大きく夢が開けたのか、満面の笑みが零れ落ちている。
ホント単純なやっちゃ。
作品名:信長、蘇生せよ、この悲観の中に 作家名:鮎風 遊