信長、蘇生せよ、この悲観の中に
「調子が悪いなあ、何とかならないのかなあ … コンチキショー」
高見沢一郎は、何の変哲もなく普通に人生やって来た中年サラリーマン。
しかし、そんな小市民で平和を愛する高見沢でも、最近腹が立って腹が立って仕方がない。
御立腹の理由は極めて単純そのもの。
虎の子へそくりの持ち株がダダ下がりなのだ。
もう何ともならない。
これからの残された生涯の中で、元値さえも挽回出来るかどうかわからない。
「あ〜あ、心は暗いなあ」
世界同時不況は終わる事もなく、今もずっと尾を引いている。
されど心の救いはある。
こんな不幸はなにも高見沢だけではない。
世間のみな様、そう、みんなみんな不幸なのだ。
作品名:信長、蘇生せよ、この悲観の中に 作家名:鮎風 遊