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てっしゅう
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novelistID. 29231
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初体験 「思い出の夏」 第一話

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「好きじゃなかったら会わないよ。機嫌直してくれよ」
「解ってるのよ・・・雄介さんが会ってくれることは嬉しいの。私は可愛くないからそのう・・・友達なのかなって思ってた」
「友達以上でもいいの?上手く言えないけど・・・そのう・・・彼女?になってくれるの?」
「雄介さんが好きで居てくれるなら・・・私は嬉しい」
「じゃあ!今日から彼女だ!よろしく・・・」
「変な言い方!でも、良かった・・・他に好きな子がいなくて」
「当たり前だよ。誰がそんなことするものか」

店を出た二人はそっと手を繋ぐようになっていた。柔らかくて温かい佳恵の手は雄介に女を感じさせていた。
ウインドウショッピングをして昼ご飯を食べて帰る時間が近づいてきた。
「佳恵さん、今年の夏休みにどこかへ遊びに行こうよ。海がいいなあ・・・若狭でも行かない?」
「泊りがけで?」
「出来ればそうしたいけど・・・無理だろう?」
「友達と行くなら多分許してくれると思うけど・・・誰か探そうか?彼のいる子」
「いいね、そうしてくれる?俺のほうも探すよ一緒に行ける奴がいたら」
「楽しみだね・・・ねえ?信じてもいいのよね?私でいいって言うこと?」
「何故そんなふうに言うの?」
「だって・・・可愛くないから」
「そういう考えが暗いって言われるんだよ。自信持って、笑顔になって・・・好きになったんだから全部俺には可愛いって思えるよ、本当に」
「うん!ありがとう・・・じゃあ帰るね。また手紙頂戴ね・・・夏休みが早く来て欲しい」
「そうだな・・・俺もだ」

雄介は阪神電車のホームで佳恵と別れて家路に着いた。自宅は反対方向の守口市にあった。

昭和44年は人類にとって画期的なことが起こった。それは7月20日にアームストロング船長が乗ったアポロ11号が月面に着陸した出来事だった。テレビ中継の前で全世界の目はその第一歩に注目されていた。沸きあがる拍手に包まれるNASA航空宇宙局の様子は雄介にとっても感動シーンに写っていた。
「すごいことをするなあ、アメリカは」心からそう雄介は思っていた。
マスコミがアームストロング船長の自宅で妻にインタビューをしていた。喜びの言葉とお礼の言葉を述べた後で彼女は
「夫の第一歩は人類にとって最大の喜びかも知れませんが、私にとっては夫との出逢いが最大の喜びです」とそう答えていた。
少し男女のことが解り始めていた雄介にとってその言葉は自分にも佳恵に対する気持ちと通じるところがあると胸に突き刺さっていた。

一学期の期末試験が終了して短縮授業に入った頃佳恵から手紙が届いた。いっしょに若狭に行く友達が見つかったと書いてあった。
雄介はお盆前の8月10から11日ぐらいでキャンプ場を予約した。テントは向こうで借りて寝る時の薄い毛布かタオルケットを用意して欲しい事などを書いて返信した。直ぐに返事が戻ってきて、いっしょに行く相手のことが書かれてあった。
「水野麻衣、同級生。彼は中谷一樹(なかたにかずき)高校三年生で麻衣の中学のときの先輩でラグビー部。待ち合わせは大阪駅の構内で10日の朝8時」そしていっしょに行ける事が嬉しいとも書かれてあった。
雄介は佳恵の友達の彼が一つ年上である事とラグビー部員だという事で不安を覚えた。話がうまく合うだろうかと言うことと、もし大柄のスポーツマンタイプだったら負けてしまいそうな自分がイヤに感じられるからだ。

雄介は色白で細身それに晩熟で子供っぽい顔をしていた。中学生に間違われる事も時々あったほど服装によっては子供っぽく見えた。
佳恵はおとなしく暗い表情をしていたから年上によく見られていた。それは気にしていた事だったが、雄介と交際するようになってから少し服装にも気遣うようになり、髪も伸ばし始めてそれなりに可愛くなっていた。この一年間で身体は少女から大人へと大きく変わり始めてもいた。
10日が来て出発をする朝麻衣が佳恵の家に迎えに来た。佳恵が頼んだ事でもあった。それは母親を信用させる為でもあったからだ。
「気をつけて行ってくるのよ。水野さん、佳恵の事よろしくお願いしますね」母はすっかり信用していた。

「佳恵は信用されているのね・・・麻衣なんてどうせ彼と行くんだろうって父親に言われたから寂しい・・・」
「えっ?お父さんにそんな事言われてるのに出かけれらたの?」
「放任主義って言うの・・・無関心なのよ」
「信じられない・・・私なんか雄介さんと一緒だって言う事がばれたらきっと叩かれちゃうわ」
「彼と付き合っている事話してないの?」
「うん、話せないの。男女交際は・・・まだ早いって言ってるしね」
「お父さんが?」
「うん、母もよ」
「可哀そうに・・・今時古いよ」
「私も早いって思っていたけど、雄介さんと話すようになってもういいかなあって感じ始めたの」
「好きになったのね、佳恵が」
「そう・・・彼もそう言ってくれたし」
「仲がいいのね」
「あなたたちだってずっとでしょ?中学のときから・・・」
「ここ一年ぐらいだよ急に仲良くし出したのは」
「そうなの、でも羨ましいわ。素敵な彼だし」
「何言ってるの!雄介さんのこと好きなんでしょ?そんな事言っちゃダメよ」
「そう言う意味じゃないよ・・・あなたとは素敵な相手だって言う意味なの。美男美女って感じで」
「すごく褒めてくれるのね、嬉しいけど仲良く出来るかどうかは外見じゃなくて中身なのよ。性格が合わなきゃダメって思う」
「そりゃそうだけど、麻衣は細身で色白、私はぽっちゃりで肌も黒いし・・・なんか引け目感じる」
「またそれ?もうやめてよ、同じ事言うのは・・・ね?それより雄介さんってどんな感じの人なの?教えて」
「どんな感じって・・・痩せてて色が白いちょっと童顔な感じ。写真見る?」
「見せて見せて!」
佳恵はバッグから財布を出して中に入れてあった写真を見せた。

「いつも持っているんだ、ふ~ん、好きなんだね・・・可愛いよ佳恵は、ふんどれどれ・・・なるほど!可愛いって感じの人だね。へえ~素敵じゃないの。私は相性がいいって感じるよ。ねえ?もう・・・エッチしたの?」
「ありがとう。そんな事してないよ!」
「ほんと?うそ言ってない?」
「言ってないよ・・・麻衣のところは?どうなの」
「さっき言ったでしょ?ここ一年ぐらいで急に仲良くなったって・・・そういう関係になったからなのよ」
「そうだったの・・・私たちは何も無いよ。今はそんな事したいって思わないし」
「佳恵はそう思っていても雄介さんは違うと思うよ。男の人だからね。あなたはまだ知らないでしょうけど、あまり嫌がっていると嫌われちゃうよ。仲良くできる子が見つかったらそっちへ行っちゃうよ。だからもういいかなあって言う所でエッチしなきゃ。今日がいいチャンスじゃない!私たちに気を遣わなくていいからそうしなさいよ!」
「そんな事私から言えないよ・・・それに雄介さんが私にそんな気があるかどうかも解らないし・・・」
「私たちに任せなさいよ。雄介さんがその気になるように導いてあげるから・・・あなたは任せるのよ、いいわね?」
「どうするの?雄介さんに話すの?」
「話さないわよ。お楽しみにって言うところね・・・そうだ、持ってないでしょ!これあげるから使って」