舞~紅と黄金~
風が吹いた。
頬を笑わせてはくれないその冷たさにマチコはコートの衿を立てた。
頬どころか耳がそこにあるのを意識するほどジンジンと冷たさを引き寄せる。
どうして、私ばかりに冷たい風が吹くのだろう。
街はイルミネーションを飾り始めたというのに・・・。
擦れ違うひとの頬はほんのり赤みが差している。
口元も笑みを浮かべているというのに・・・。
マチコは仕事を終え、家へと帰り道、そんな光景を見て歩くのが嫌になった。
途中の公園へ足を向けた。
園内の通路は、木々からの落ち葉で埋めつくされていた。
ひと足ひと足に、カサカサと葉が絡む。
ひと足ひと足が踏みつける葉の音が足元の感覚とともに耳にも届いた。
ふと通りすがりの視野に葉が舞う光景が入った。
感覚のままに視線が移る。
誰かが落ち葉をすくい上げては、舞い散らせている。
何度も何度も・・・。
後ろ姿で顔は見えない。だが体格やその動きから、若い、いやそうでないかもしれないが たぶん男性だ。
マチコは、そのまま通り過ぎようと足を早める。
だが、その光景に魅了されていたもうひとりのマチコが足を止めさせた。
それだけでない。
「きれいですねー」
声まで掛けてしまった。
その人は、すくった落ち葉をそのままに手を止め、振り返りマチコを見た。
数秒、いやもっと短い時間かもしれないがマチコを見たあと、両手の落ち葉を舞い上げ、 両手を払いながらマチコに近づいてきた。
マチコの足が動けない。
その見つめられた視線に釘付けにされているようだ。
頬を笑わせてはくれないその冷たさにマチコはコートの衿を立てた。
頬どころか耳がそこにあるのを意識するほどジンジンと冷たさを引き寄せる。
どうして、私ばかりに冷たい風が吹くのだろう。
街はイルミネーションを飾り始めたというのに・・・。
擦れ違うひとの頬はほんのり赤みが差している。
口元も笑みを浮かべているというのに・・・。
マチコは仕事を終え、家へと帰り道、そんな光景を見て歩くのが嫌になった。
途中の公園へ足を向けた。
園内の通路は、木々からの落ち葉で埋めつくされていた。
ひと足ひと足に、カサカサと葉が絡む。
ひと足ひと足が踏みつける葉の音が足元の感覚とともに耳にも届いた。
ふと通りすがりの視野に葉が舞う光景が入った。
感覚のままに視線が移る。
誰かが落ち葉をすくい上げては、舞い散らせている。
何度も何度も・・・。
後ろ姿で顔は見えない。だが体格やその動きから、若い、いやそうでないかもしれないが たぶん男性だ。
マチコは、そのまま通り過ぎようと足を早める。
だが、その光景に魅了されていたもうひとりのマチコが足を止めさせた。
それだけでない。
「きれいですねー」
声まで掛けてしまった。
その人は、すくった落ち葉をそのままに手を止め、振り返りマチコを見た。
数秒、いやもっと短い時間かもしれないがマチコを見たあと、両手の落ち葉を舞い上げ、 両手を払いながらマチコに近づいてきた。
マチコの足が動けない。
その見つめられた視線に釘付けにされているようだ。