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洋ナシ体型のおっさん、落ちる!

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第六話



<第六話>洋ナシオッサン飛び降りる5分前

 私は恐怖で震える体を不器用に動かしながら屋上の端へと移動した。

「うぅううう……」

 30階建てマンションの屋上から景色を覗く。車、人、家、すべてがミニチュア模型のように見える。はるか上空から見下ろせば、すべてが偶像に見える。すべてが嘘に思える。こんな真っ黒な全身タイツを着て、ここから飛び下りなければならない現実も、嘘だったらいいのに……。

 私は、けして幸せだったとは言えない50年間の人生を振り返り、なんともつまらない人生を送ってしまったと後悔した。

 親を恨んだ。社会を恨んだ。すべてを恨んだ……たった一人、君をのぞいて。私の人生、君に出会えただけでもよかった。君が私の人生に関わってくれて、うれしかった。

 ”君のために死ぬ”

 これでも命の尊さを人並みに理解しているつもりだ。

 それでも、君の輝かしい人生と比べたら、私の命など価値のないものだと思えてくる。

 君のためなら命を軽々しくあつかうという愚行も、愚かだとは思えない。

 君のことを考えているうちに、いつのまにか体の震えが止まっていた。私は、死ぬ前だというの穏やかな心になることができた。

 私は、意を決して、ついに屋上から飛び降りた。

「びょえぇえぇええええ~」




 ……どんなに自分の感情を美化しようとしても、人間の体は、心は正直だ。

 飛び降りた瞬間、私の正直な体は恐怖という正直な感情を 「びょえぇえぇええええ~」という奇妙な声で表現した。

 やっぱり怖いよ、死ぬのは。

 やだよ……生きたいよ…………