Da.sh
ドッカ――ン
大音響とともに黒い煙が甲板を包み込み、空中に立ち昇っていく。
さらに続けて2回爆発音が轟き、紅い炎が甲板を舐めまわし始めた。
厨房で料理をしていたのだろうか、どうやらガスか燃料に引火したらしい。
ベトナムへ向けて出航するはずだった船はふたつに折れた中央部を天に向け、火と煙を纏ったまま海の中に沈みゆこうとしていた。
西の方角に目を転じると、濃いオレンジ色をした太陽がワイングラスのような形をしていた。雲まで紅く染まっている。
太陽が先か、船が先か・・・
まもなく消防艇と海上保安船が海上を滑るように出ていった。遅れてヘリコプターがプロペラ音を響かせ始めた。
男は高台にある公園からもう一度、沖合の沈みゆく船を凝視して口角を少し上げると、踵を返した。
公園の入口に止めていたシルバーの車の運転席に乗り込むと、アクセルを踏み込んだ。
大音響とともに黒い煙が甲板を包み込み、空中に立ち昇っていく。
さらに続けて2回爆発音が轟き、紅い炎が甲板を舐めまわし始めた。
厨房で料理をしていたのだろうか、どうやらガスか燃料に引火したらしい。
ベトナムへ向けて出航するはずだった船はふたつに折れた中央部を天に向け、火と煙を纏ったまま海の中に沈みゆこうとしていた。
西の方角に目を転じると、濃いオレンジ色をした太陽がワイングラスのような形をしていた。雲まで紅く染まっている。
太陽が先か、船が先か・・・
まもなく消防艇と海上保安船が海上を滑るように出ていった。遅れてヘリコプターがプロペラ音を響かせ始めた。
男は高台にある公園からもう一度、沖合の沈みゆく船を凝視して口角を少し上げると、踵を返した。
公園の入口に止めていたシルバーの車の運転席に乗り込むと、アクセルを踏み込んだ。