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今日はインタビュー

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今日はインタビュー

 「今日はインタビューなんですよね?」
「ええ、インタビューです。何の話をするおつもりですか?」
 「まずはちょっとペンネームと言うかハンドルネームと言うかの話でもします」
「するんですか」
 「ええ、します」
「それは面白い話になるんですか?」
 「さぁ?」
「さぁ?って……」
 「じゃ、とりあえず。まぁ自分はネットでは『うろ』って名前を主に使ってるんですが」
「その由来は?」
 「実は特にないんですよ。色々なところで言ってるのは大体後付けです。強いて理由を挙げるならば、言葉の響きがちょっと丸い感じで好きってのと、単純で覚えやすいかなというだけです」
「結構しっかりした理由じゃないですか。そういえば『うろ』って名前ってなんとなく女性っぽいイメージがありますね。なぜでしょう?」
 「それは人それぞれ感覚が違うからなんとも……と言いたいところなのですが、平仮名だけで構成されているとなんとなく女性っぽい感じがするんですよ、たぶん。ほら、人の名前がそうだから。男性の名前って漢字のみで構成されている人が多いじゃないですか。女性は平仮名の名前の人も結構いるからというか……うーむ、あんまりいい話じゃなかったかな」
「うーん、確かに。こういう話が嫌いな人っていますよね。女性がどうのとか男性がどうのとか……」
 「あ、いや、そういう意味合いでの『いい話じゃなかった』ってことじゃなくて」
「どういうことですか?」
 「なんというか、余計なことを語ってしまったという感じです。ついつい長々と。無駄が多すぎる感じです。『と言いたいところなのですが』のあたりからもう必要ない部分ですよね」
「そんなこともないような。無駄に思える部分から色々と話が広がったりするんですよ。例えば、今の名前の話から男女の話に持って行って、そこから差別の話に移っていくとかできるじゃないですか」
 「あぁ、話を広げるというか、続けるにはそういう無駄が大事って話ですか。そう考えれば無駄ではなくなる気がしますね。でも、この時点で本題である『ペンネーム』の話からすると無駄なわけで……うーむ、一方では無駄で、一方では有用。この矛盾を内包するとは、なかなかですね」
「何がなかなかなんですか?」
 「さぁ?僕にもわかりません。ただ、なんとなく言ってみただけです」
「なんとなく、ですか。なら仕方ないですね」
 「仕方ないですよね」

「……次の話に行きますか」
 「では、先ほどあなたがおっしゃられた通りの順序で話しましょうか」
「えーと、男女の話、ですか?」
 「ええ、そうです。男女と言うのはどうしても違う生き物です。同じ人間と言うくくりに入れることはできますが」
「それはそうですね。男女というのは同じではないです」
 「でも、世の中には男女が同じであると思っている人が少なからずいて、そういう人たちが、男女平等を掲げるわけです」
「男女平等でもいいじゃないですか」
 「いいえ、完全な男女平等はあり得ません。それは幻想です。本当に男女が平等なら、男が子供を産まなければならなかったりします」
「え?そういう意味ではなくて……」
 「あぁ、今のはジョークです。意味のないやつです」
「ジョーク、ですか」
 「いや、正確に言うならちょっと話を展開しすぎて風呂敷をたたみ切れそうになかったので、変なオチをつけて話を変えようかと思っていました」
「それ、ただのごまかしですよね?ジョークじゃないですよね?」
 「ええ、そうです。ジョークではないです。すみません」
「やれやれ……さて、どうします?変な流れになっちゃったじゃないですか」
 「僕のせいではないです。あなたが今後の展開を変に限定してしまったのが悪いのです。男女の話から差別の話に、って」
「それを選択したのはうろさんじゃないですか」
 「そういえばそうでした。でも、そういう方向に話が行くように仕向けただけでも、十分にあなたにも責任があると思います」
「理屈が通っているような、通っていないような……うーん、私、なんかごまかされてないですか?」
 「気のせいですよ、きっと」
「そういうことにしておきましょうか。では、どうしましょうか?」
 「どうしましょうかって……まだ何か話さなないといけないのですか?」
「ええ。文章量が足りません。これでは投稿サイトに載せる量としては……」
 「いきなりメタ発言ですか。あなた何者ですか」
「私はただのインタビューをする人ですよ。あなたに作られたキャラクターの一人であってそれ以上でもそれ以下でもありません」
 「おいおい、ものすごいメタ発言が出たぞ。ちょっと落ち着け」
「あ、すみません。ついつい調子に乗ってしまいました」

「ところでうろさん、あなたの口調についてなのですが……」
 「どうしましたか?」
「一定してませんよね」
 「一定しているほうがおかしいと思いますよ。あなただって一定しているわけじゃないじゃないですか」
「そういえばそうですね」
 「今ふと思ったのですが、読者がこれを読んだとき、今どちらがしゃべっているかわからなくなったりするのでは?」
「そうならないように少し工夫しておきます。うろさんが発言しているところは前に一マス開けるとか」
 「うーむ、それだけで区別できるものでしょうか。一マスって結構気付かないものだと思いますけどね」
「いや、大丈夫ですって」
 「もっと、こう、なんというか……あ、そうだ、僕の発言の前には僕の名前、あなたの発言の前にはインタビューをしているあなたの名前を書けばいいのでは?」
「そんなの面倒くさいんで、やりたくないです。本音を言えば、一マス開けるだけでも結構面倒くさいからやりたくないんですよ」
 「そんな人がよくインタビューやれますね」
「あなたがやらせてるんじゃないですか、全くもう……」
 「はいはい、メタ発言はやめましょうね」
「うろさんが仕向けたんじゃないですか」
 「いや、そんなつもりはこれっぽっちもなかった。あなたが勝手にそう思っただけですよ」
「なんかむかつくなぁ」
 「まぁまぁ落ち着いて……ケーキでもどうです?」
「いいですねぇ、ケーキ。何ケーキですか?」
 「チーズケーキです」
「ショートケーキとかチョコレートケーキとかは?」
 「あれは変に甘ったるいんで嫌いです。チーズケーキぐらいがいい」
「チーズケーキではどんな種類のものが好きですか?」
 「下に堅いビスケット生地があって、その上にチーズクリームが乗っかったようなチーズケーキが好きですね。どういう名前のチーズケーキだかわかりませんからこんな風な表現をしてみましたけど、伝わりましたかね?」
「たぶん伝わったと思います。少なくとも私には伝わりました」
 「そりゃああなたは僕だもの」
「メタ発言をやめろと言ったのはうろさんですよ」
 「あぁそうでしたね。これは失礼を……」

「さて、本題に入りましょう」
 「え?本題とかあったんですか?」
「ええありますよ。だからインタビューするんじゃないですか」
 「うーん、話の筋があんまり通っていないような……気のせい?」
「気のせいですよ。で、本題なんですが、なぜうろさんは小説を書いておられるのですか?」
作品名:今日はインタビュー 作家名:うろ